映画はどこにでもある。最新号目次です!

『映画の友よ』
http://yakan-hiko.com/risaku.html
最新第9号、先週末より配信中です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Presented by 夜間飛行
“The Book Project 夜間飛行”では、次世代の「本」の形を提案します

切通理作メールマガジン「映画の友よ」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2014年04月04日 Vol.009 
<映画を再起動する映画 富田克也・山戸結希・濱口竜介><新連載・時代劇を支えてきた男達><宇野常寛昭和ライダーを語る><塩田明彦監督に聞く「お姫様抱っこ」と一分間に凝縮された人生><足立正生が語る『テロルの季節』>ほか

────────────────
00 ごあいさつ
────────────────

毎回、僕が「長編批評」を冒頭に書くというのがこのメルマガの売り物のつもりだったんですが、「長編批評」などとモノモノしく押し出していれば、重たいと思って引く人もあるかなと思い、もうちょっと雑誌っぽいタイトルにしようと「フロントページ」「フロント・レビュー」「フロント・アイ」など色々考えたのですが、どうもしっくりきません。

やはり英語は気取っていて僕には似合わない。いっそ日本語にしてしまえ、恥をさらせ、というわけで『切通理作の「見てンぞ!映画」』と題することにいたしました。

入江悠監督の『SRサイタマノラッパー3』に出てくる憎まれ役のラッパー集団が歌っていた「見てンぞ!見てンぞ!」というフレーズを聞いて以来、頭の中で無数にリフレインしてきたのもどこか関係があるかもしれません。

2010年代に入る前後の、インディペンデント映画の波を代表する『サウダーヂ』富田克也、『あの娘が海辺で踊ってる』山戸結希、『親密さ』濱口竜介といった才能について、このメルマガの初期段階で序章的にでも書く機会があればと思っていましたが、これまで映画についての著述や編集をものしてきた寺岡裕治さんの熱きパトスほとばしる一冊『映画はどこにある』の刊行を機に、同書を補助線にした、「書評でありながら映画評でもある不思議な原稿」にしてみました。

前回から「連載インタビュー」として登場頂いている足立正生さんが60年代末期に映画『略称・連続射殺魔』で見出した風景論との意外なリンクも、時代を越えた視座をもたらすと思います。

試写室やシネコンで順繰りに見ていくだけでは出会えない。そんな映画との邂逅を常設コーナー「日本映画ほぼ全批評」でも反映させています。

映画は場所を越え、時代を越え、風景を切り裂きます。

今回から新連載が始まります。テーマは、当メルマガでは手薄だった時代劇。東映京都撮影所の本格協力を得て、密着取材を続けていたテレビディレクター・吉川まいこさんが、京撮を舞台にした映画『太秦ライムライト』が今夏に公開されるまでの間、毎回映画職人たちの技と人間性に肉薄していきます。

『抱きしめたい〜真実の物語』の監督であり、『映画術 その演出はなぜ心をつかむのか』の著者である塩田明彦さんのインタビューは第二回。映画の中の一分間に、人生が凝縮されるという話題から始まります。

「『風景の死滅』は『風景の突破』である」と題した足立正生さんの聞き書きは「連載インタビュー」として続いていきます。今回は、60年代末期に若松孝二監督の映画の共同脚本名「出口出」の一人だった時代を振り返って頂きました。

そして宇野常寛さんの「ほぼ日刊惑星開発委員会」とのコラボ企画として、宇野さんとの3万字対談「いま昭和仮面ライダーを問いなおす」を採録させて頂いてます。

71年からスタートした昭和仮面ライダーの全般にわたって、その内容を語ったものは、「東映ヒーローMAX」誌に連載されている村枝賢一氏の『魂の仮面ライダー爆談!』と、これぐらいではないでしょうか。

寺岡裕治さんと同じく、70年代後半生まれである宇野さんと、昭和ライダー初期からのリアルタイム世代である僕との、共通項と違うところも再確認できます。

カセット館長の後藤健児さん、ハリウッド俳優の眼福を語る丸茂透子さん、新連載の吉川まいこさんと、本メルマガで寄稿頂いているのも、いまのところ全員が70年代以降に生まれた方たちです。

後藤さんによる、青春の残り香を燃焼したいという思いが込められているような『LIFE!』評は、「今、この映画と出会ったこの時しか書けない」みずみずしさに溢れており、僕も自分の30歳前後の気持ちを思い出しました。

高度経済成長のピ−クである1964年に生まれた僕は、彼らの視座に刺激を受けながら、「現在」に向き合いつつ温故知新をしていきたいと思っています。


────────────────
今週の目次
────────────────

[00]ごあいさつ
[01] 切通理作の「見てンぞ!映画」 硬直した日本映画の再起動が起こっている
寺岡裕治編『映画はどこにある インディペンデント映画の新しい波』の視座
・世の中の<正解>に対抗する富田克也「空族」
・『国道20号線』の風景
・映画を作りながら生きている
・山戸結希が描く「たった今」の焦燥感
・少女の<振り幅>がポップになる
濱口竜介・映画の肌に触れる体験
・イザ出かけよう!「どこにでもあり得る」映画へ 
[02]新連載・時代劇を支えてきた男達〜映画『太秦ライムライト』の現場から 
5万回斬られた男・福本清三さんに何故今スポットがあたるのか 筆・吉川まいこ
[03] 一分間に凝縮された人生と、映画が決める運命〜『抱きしめたい』塩田明彦監督に聞く「映画術」PART2
[04] 連載寄稿 カセット館長の映画レビュー 『LIFE!』実直な日々の生活から冒険者は生まれる 筆・後藤健児
[05] 連載寄稿 眼福女子の俳優論 「八の字トリオ」の共感度高い笑顔〜『50/50』ジョゼフ・ゴードン=レヴィット 筆・丸茂 透子
[06] 特撮黙示録スペシャル・PLANETSコラボ企画 宇野常寛×切通理作3万字対談「いま昭和仮面ライダーを問いなおす」
[07]帰ってきた早稲田大学怪獣同盟コラボ企画 『ウルトラマンギンガ劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』レビュー
[08]日本映画ほぼ全批評
・力俥2 草津熱湯編
・幕末高校生
・サッドティー
・テレクラキャノンボール2013
・強制飼育 OL肉奴隷
[09] 連載寄稿 女子ときどきピンク映画 筆・百地優子(脚本家) 
第9回 あなたはピンク大賞を知っていますか?
[10] 足立正生連載インタビュー 『風景の死滅』は風景の突破である 第2回 若松孝二映画の脚本名「出口出」時代を語る 
・性賊 セックスジャック
・現代好色伝 テロルの季節
・天使の恍惚
[11]あとがき

一カ月間の配信分は無料なので、まずはお試しくだされば幸いです。
http://yakan-hiko.com/risaku.html