巻頭レビューの前半公開!映画の友よ最新号の内容はこれ!


最新第11号、週末より配信中です。
日本映画をほぼ全部見て、作り手の方や、映画について語り合いたい人に会いに行くメルマガ『映画の友よ』。
http://yakan-hiko.com/risaku.html

今回は、<『私の男』映画と原作の間にある禁断><セーラー服の孤高の戦士!桜木梨奈><驚異の新作13本連続レビュー!><白石晃士監督『コワすぎ』特集><最新作『昼も夜も』〜塩田明彦監督の「追悼」><ヌハハハッと笑うエマ・ストーン><時代劇・カメラの前に立つまで10年><『胎児が密猟する時』足立正生と密室>といった内容になります。

いつもはまえがき、目次までこちらのブログで公開しておりますが、それよりももうちょっと先、巻頭レビュー「『私の男』〜映画と原作の間にある禁断の関係」の前半まで公開します。もしご興味があれば、先はメルマガで是非読んで下さい。新規購読一カ月は無料です。いわば立ち読み感覚で、それだけで取りやめられても結構です。


────────────────
00 ごあいさつ
────────────────

昔からバーンバーンと色んな球を打ち返すように文章を書く「千本ノックコラム」というものに憧れていましたが、なかなかそういう機会がありません。
しかし今回の「日本映画ほぼ全批評」は、当メルマガ始まって以来の14本という最多レビュー。
さすがに配信までに原稿が終わらないんじゃないかと思いましたが、やれば出来るものですね!

フロントレビュー「切通理作の見てンぞ!映画」では、映画を見ていて、原作を読みたくなるのは、どんな気持ちなのか、そしてその気持ちの行方はどうなるのか……ということを、6月に公開される桜庭一樹原作『私の男』をメインのテキストに書きました。

今回は、新作レビューも、連載枠「特撮黙示録」(『ゴジラの逆襲』)でも、映画と原作の関係に触れる原稿を多く書くことになりました。

東映映画『花と蛇ZERO』主演の女優・桜木梨奈さんのインタビュー第二弾では、どこか遠くにいるスターに憧れるよりも、身近な人の笑顔が見たいという桜木さんの生きる姿勢を伺って、いまだにすべてに夢想中なおっさんの私など恥ずかしい限りです!

桜木さんがセーラー服で『華魂』に主演した時、佐藤寿保監督が、彼女の役のことを「孤高の戦士なんだ」と言ったという話には胸がキュンとなりました。ぜひ読んでください。

連載陣も好調です。カセット館長の後藤健児さんによる『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』の全貌は、以前の号の、早稲田大学怪獣同盟による『ウルトラマンギンガ』特集と同じく、劇場版公開を前にした同シリーズの総まくりです。

そして『アメイジングスパイダーマン2』を前にして、女優エマ・ストーンの魅力も再確認。「いつでも銀幕にキック・オフ」の精神で、11号目も始まります!

3回目を迎えた「時代劇を支えた男達」は、テレビディレクターである吉川まいこさんの文章から絵が浮かんできて、本当に自分が東映京都撮影所の中に居るような空気感がたちこめてきたのには、ビックリしました。彼女とともにサムライたちの空間にトリップしてください。

『映画術 その演出はなぜ心をつかむのか』の著者である塩田明彦さんのインタビューはついに最終回。今回は塩田さんの「脚本術」についても伺ってみました。

ネスレシアターで配信中の最新作『昼も夜も』は、塩田さんが、色んなものを追悼するために作ったという思いを告白してくださいましたが、現実に生きる私たちは、日々どこにスタートラインを引いて生き直すのかということについて考えさせられました。

『昼も夜も』については、今回不肖私のレビューも掲載しています。多くの人に見てほしい作品です。

「『風景の死滅』は『風景の突破』である」と題した足立正生さんの聞き書き。今回は、足立さんが脚本を書き、若松孝二さんが監督した『胎児が密猟する時』『ゆけゆけ二度目の処女』の話題に突入。宮台真司さんが、14歳で見たという『ゆけゆけ二度目の処女』の主題歌を暗誦し、足立さんと若松さんに「あなたたちは僕の神だ」と言ったエピソードも出てきます。

しかし、今回は伝説の時代の話だけではありません。これまでは主に60年代から70年代の話を振り返って頂きましたが、今回は現在の風景をいかに切り裂くかという話題、そして若者へのメッセージが語られます。

足立さんの若者へのメッセージは、上から目線のものではなく、同じ時代の困難に向き合おうとするものです。


────────────────
今週の目次
────────────────

[00]ごあいさつ
[01] 切通理作の「見てンぞ!映画」 『私の男』 映画と原作の間にある禁断の領域
[02] 最新作『昼も夜も』を語る 監督・塩田明彦に聞く「映画術」PART4(最終回)
[03]日本映画ほぼ全批評
・昼も夜も
・正しく忘れる
・捨てがたき人々
・女の穴
・恋につきもの
無花果の森
・忍ジャニ参上!未来への戦い
・最近、蝶々は…
最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。
・大人ドロップ
神様のカルテ
・クローズEXPLODE
平成ライダー昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊(決着編)
・女子トイレ エッチな密室
[04]連載・時代劇を支えてきた男達〜映画『太秦ライムライト』の現場から 第三回 “僕たちの世代はみんな福本清三夢工場・撮影所を支えた俳優達(2) 筆・吉川まいこ
[05] ザ・女優魂 『花と蛇ZERO』主演・桜木梨奈 その2 『華魂』ヒロインはセーラー服の孤高の戦士!
[06] 連載寄稿・眼福女子の俳優論 アメイジング・ポニーテール〜映画『アメイジングスパイダーマン』で見るエマ・ストーンの魅力  筆・丸茂透子
[07]連載寄稿 カセット館長の映画レビュー POVホラーの最先端を行く傑作シリーズ『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』の全貌  筆・後藤健児
[08] 足立正生連載インタビュー 第4回 密室、そして「風景の突破」の現在
・胎児が密猟する時
・ゆけゆけ二度目の処女
・ゲリラ戦は不敗である
・『花火思想』は自分の歌を歌わないのか
[09] 連載寄稿 女子ときどきピンク映画 筆・百地優子(脚本家) 第11回 『強制飼育 OL肉奴隷』まもなく公開!
[10]特撮黙示録1954-2014  『ゴジラの逆襲』幻の名場面
[11]あとがき


────────────────
01 切通理作の「見てンぞ!映画」 『私の男』〜映画と原作の間にある、禁断の領域
────────────────

原作を読んでみたくなる映画が時々ある。
たとえば今回の「日本映画ほぼ全批評」でレビューした作品でいえば『捨てがたき人々』『女の穴』『恋につきもの』がそうであり、今号掲載のレビューは映画と原作との比較にもなっている。

私の場合、原作を読みたくなる動機ははっきりしていて、「原作ではどうなっているんだろう?」という興味からであることが多い。

映画は映画で完結しており、一本見て特に疑問に思うところがない場合は、「時間があれば原作も知りたい」というモードになる。

だが映画の中で「あれ?」と引っかかる個所があったりすると、「ひょっとしたら原作にはそのことがもっと書かれているのではないか?」と矢も楯もたまらない気持ちになる。

たとえば『捨てがたき人々』(ジョージ秋山原作、榊英雄監督)では、主人公の狸穴勇介(大森南朋)が、隠し持っていたドスを布にくるんで家を出ようとする。あたかも誰かを刺しに行くような調子だが、前後の関係上、いったい誰を刺そうと思っていたのか、映画を見ただけでは皆目見当もつかなかった。

そこで原作を読んでみたら、普段から不安定な心理の狸穴勇介は、時としてそうやって刃物を持って外に出ることで、「こいつをもってうろついてりゃチャンスに当たる」と、願掛けのような気持ちになっているということがわかった。

また金もなく飢えている狸穴勇介は、もし誰かとぶつかって自分が強盗のような真似をしたとしても、それはそれでいいという捨てバチな気分も併せ持っているという、なかなかに複雑な心理状態だったのだ。

たしかに、これは映画で、説明過多でなく表現するのはちょっと難しいだろうなと思わせるものがあった。


◇世界の完全性が崩れた理由

前号の「日本映画ほぼ全批評」では、近親相姦の関係にある父娘が、自分たちの世界を壊そうとするものを殺していた『私の男』桜庭一樹原作、熊切和嘉監督)についてレビューした。

ヒロイン花(二階堂ふみ)と、父淳悟(浅野忠信)の間にある、他の誰をも寄せ付けない世界の完全性。
ところが、殺人までして他者の存在を排除してきたのにもかかわらず、娘が感じる父への一体感は、ある時から失われてしまっているということがわかる。

花の心がなぜ父から離れていったのか、映画の場合、明確なきっかけが用意されておらず、私は途中からやや話についていけなかったのは、前回のレビューにも書いた通りである。

大人になった花は、外の世界の男性をも意識するようになり、父親だけが男だとは思えなくなっていったのだろうということや、自ら手を下して殺人をした父が思いのほか動揺し、仕事にも出られなくなり廃人同様になってしまったからではないか。

そういった、外側から推測できる材料はある。
でも「ここが決定的だ」というものがいまひとつ欲しい気になってしまう。

「原作にはそれが書いてあるのではないか」
そこで、桜庭一樹による、第138回直木賞を受賞した同名原作を読んでみた私は、花の心が淳悟から以前よりは離れていった理由と、そしてそれが映画化しにくかった理由を同時に知ることになる。

<続きはメルマガで!>

よろしかったらご一読下さい。
購読後1か月ぶん無料です!お試しくだされば。
http://yakan-hiko.com/risaku.html

そしてよかったら、御感想教えて下されば幸いです。