下北沢がちょっとキライになった

 下北沢の某カフェが、客として行くぶんにはいい感じのお店だと思ったので今度自分が出す本がらみで写真展をやろうとしたら、あまりに非人間的な扱いをされた。指定された時間に忙しいカメラマンを連れて行ったのに一時間以上も待たせてお茶も水も出さない。忙しいなら分かるがその間店は三分の一程度しか客席が埋まっていなかった。そして一度決まったことを向こうの都合で差し戻して一方的に呼びつけたり新しく撮り直せだの無理難題を言う。また向こうの用でこちらから電話しているのに態度が異様につっけんどんetc……。
 これでは期間中や搬入、搬出時も含め気持ちよくやれない(しかも搬入1時間、搬出30分で時間厳守という慌しい条件!)ことが予想される。
 どう考えても「一緒にやっていきましょう」という雰囲気ではないので「もう辞退します」と言ったら「キャンセルですか?」だって。
 この上キャンセル料まで取ろうというのか! 向こうの都合で一度決まった内容を白紙に戻されて、協力を要請した人たちにも取り消しの連絡をしたりしなければならなかったのだから、キャンセル料をもらいたいのはこっちだよ!とさすがの温厚で知られる(?)私もブチ切れそうになりました。
 会場の使用料がタダなので、その分「使ってやっている」という意識が強いのかもしれないけれど、こっちからしたってプロの写真家が手間暇かけてクオリティの高い写真を用意し、それを一定期間店内の装飾として無料で使うことを承諾しているんだから、関係はフィフティ・フィフティなはず。

 このお店はもともと下北沢の再開発問題を取材するときに、インタビューイの人が場所として指定してきた店で、とても好感を持っていただけに、ひとたび裏手に回れば手のひらを返したようなその態度にはちょっと呆然としてしまった。
 下北沢はたしかにいま注目を集めている。道路開発には僕も反対だ。だがこの再開発反対運動は、おもに地主たちの運動ではなく、テナントを借りている下北沢を愛する人たち、そしてその層を厚く包囲する下北沢を訪ねる外来の人たちによって支えられている。そこを忘れて、下北沢で働いているからといって、なにかの特権意識に支配されているような言動には、疑問を覚える。もちろん問題は下北沢という場所ではなく、その店だけのものであると信じたいけれど。 

 その本の原稿、第2稿直し。プリントアウトして最後までチェック。