取材と収録と映画のハシゴ

 キネ旬とは別媒体(ニャン2倶楽部という初めて聞く雑誌の若い編集氏から連絡があり、連載をすることになった)でピンク初期からのベテラン小川欽也監督にインタビュー。72歳で410本目! ちょうど青島幸男さんが亡くなった年齢だが、いまだに現役とは、すごい!
  この人が居なくなったらピンク映画のピンク映画らしい一本の柱が、きっとなくなってしまうと思う。
  監督生活四十年の、さまざまなエピソードに驚嘆。
  取材の前に小川監督の新作を映倫試写室で鑑賞。
  今回の取材は連載二回目のための収録。一回目の吉行由実さん編はすでに入稿済み。
  キネ旬では純粋な批評をやっているがこちらではインタビュー中心にやっていこうと思う。
  この雑誌、投稿中心のグラビア部分でのエロ度は男の自分でも驚いてしまうような激しいものだが、コラム部分は読み物としての扱いで、直接的にエロを刺激するようなことは求められていない。

  その後、目黒に移動して「BONZO」の収録。今回実相寺昭雄監督を中野貴雄さんと追悼。遺作『シルバー假面』は、奇しくも実相寺監督の集大成となって『帝都物語』『D坂の殺人事件』もリンクしながら、それらでは「遊びきれなかった」部分が花開いているという感じがする。大人の戯れ、という感じで、中野貴雄さんの脚本も素晴らしい。『帝都物語』も林海象ではなく中野貴雄が脚本を書いたらもっとずっと楽しい映画になったのではないだろうか。
  先に朝日新聞で書いた追悼文では、監督は薄闇の中に帰還したのではないかと問いかけてしめくくったが、その後この遺作を見て、否、光でも闇でもなく、常にその往還のすきまに隠れながら、その世界が完成されてしまうことを拒否していたのが実相寺さんだったように思えてならない。
 その意味では、まだどこかで監督が生きていらっしゃるのでは?という実感の伴わなさを残して旅立ったのも、いかにもという気がする。

  夜はいまおかしんじ監督の『おじさん天国』の最終日行ってきた。ポレポレとかそういう場での上映は、ピンク館で一度見た映画についてまた、ラスト分かった上で味わい直せるいい機会。
  会場で売っていたいまおかさんのシナリオ集も買う。