怪獣総進撃

 幼稚園から一緒の、近所に住む親友の真ちゃんから、今日「帰ってきたウルトラマン」が始まるよ、と聞いて見る。
 その日たまたま従姉妹の二人が来ていたので一緒に見る。
 タッコング、ザザーン、アーストロンの三大怪獣が出る。
 死んだ郷秀樹にウルトラマンが乗り移る合成の美しいシーンは記憶に残る。
 柱の下にはさまれた人を助けようとする郷の姿も印象に残った。
 だがのちに従姉妹の一人から聞いたところによると、彼女の記憶では、この場面にゴリラ人間が徘徊していたという。
 たぶん同時期に放映された「宇宙猿人ゴリ」の記憶が混ざったのではないかと思われる。
 女の子にとって怪獣モノといったら、みんなおんなじようなものなのだろう。


 「帰ってきたウルトラマン」の前情報は「小学二年生」で読んでいた。だがまめにエアチェックするほどしっかりした子どもではなかったので、真ちゃんに言われて初めて「よし見よう」と思った。
 この月の「小学二年生」は別冊付録が「帰ってきたウルトラマン」で、今度のウルトラマンはラインが二重であり、前のウルトラマンとは違うということも書いてあった。マットシュートの弾が「カートリッジ」で装填、とあり、「カートリッジ」という言葉を初めて覚えた。カッターの替え刃を「カートリッジはコレかあ」といじって遊んでいた記憶もある。
 タッコング、ザザーン、アーストロンも学年誌で紹介されていた。

 この頃はブルマアクの怪獣人形がスポンサーの「ウルトラファイト」が一日二本も放映されていた。
 テレビ番組は「一日×本まで」というきまりは各家庭に見られ、真ちゃんは「ウルトラファイトは五分だからおまけしてよ」と親御さんに頼んでいたのを思い出す。真ちゃんの家にはテレビ番組のソノシートがありよく聴かせてもらった。ウルトラQの『大怪獣のうた』『ウルトラマーチ』などはここで聞いたのではないかと思う。ソノシートのドラマ部分もよく聞かせてもらった。

 真ちゃんの家に曲がる前の道は、杉並第一小学校に続く道であり、まっすぐ行くと左右のお寺と神社に挟まれる。お寺には幼稚園があり、僕の通う小学校に進学する園児も多かったが、僕と真ちゃんはキリスト教系の幼稚園だった(現在は廃園)。真ちゃんの家に曲がるあたりまでは数軒長屋があり、靴の仕立て屋さんなどもあったのを思い出す。手前にはどぶ板があり、橋が通ってそこに橋の名前が書いてあったが、いまもその道はあるものの橋の様相は呈しておらず、名前の記載もなくなった。どんな名前だったか、覚えていないが、「なんとかばし」とひらがなで書いてあったように思う。
 このどぶ板は昔はなく川がそのまま流れていたと親から聞き、その情景を頭に浮かべた。
 橋のあたりにはいつもひとりの老人が徘徊していて、いつも見る風景のようになっていた。僕が中3ぐらいまでは、長屋もこの老人も健在だった。
 橋のすぐ横には出来てはつぶれるスナックがあった。