本日!トークイベント

 切通理作presents
「物書きが自分をさらすということ」
 映像と文章で現代の「リアル」に迫る森達也監督を迎え、『失恋論』で自らを赤裸々に綴った切通と「なぜ私はアダルトビデオで自分を晒せないのか」を問いかけながらライターを続ける美女雨宮まみトークバトル。ライター、表現者志望の方は集まれ! 雨宮まみ解説付き女性にもオススメAVコーナー有。
【出演】切通理作(『失恋論』著者)、森達也(ドキュメンタリー監督/ノンフィクション作家)、雨宮まみ(AVライター)
 OPEN 18:30/START19:30
 ¥1,000(+1drinkから) <当日券のみ>
 地図はhttp://www.loft-prj.co.jp/naked/map.html



 トークイベント無事終了。
 始まる前すでに立ち見でも入れなくなり、ソールド・アウトになってしまったのは、来ていただいた方には本当に申し訳ない。
 第一部は僕と雨宮さんがお互いの自分のことを書いた文章からところどころ抜粋して読み合うという「羞恥プレイ」。
 第二部は森達也さんが加わって、ドキュメンタリーと「作り物」についての考察。
 第三部は雨宮さんオススメAVコーナー。


 それぞれ別個のトークショーのような感じになってしまったが、それぞれは充実していたと思う。
 ただ、トーク終わったあと「雨宮さんってAV女優じゃないの?」と僕の知人が言ってきたり、質問コーナーでも「雨宮さんはAVの脚本書いているんですか」という発言もあったりして、その辺の説明が十分でなかったのかもしれないと思い、不徳の致すところ。
 雨宮さんは雑誌でAVについてのレビューや取材をしている「ライター」さんです。
 時間の関係でその仕事ぶりをじっくり説明する余裕がなかったのと、雨宮さんがなぜAVに出る側にならないのかという葛藤の部分の押し出しが足りなかったのだろう。そこら辺はまた機会を改めてお話できればと思う。


 第一部ではとにかく、まだ単行本化されていない雨宮さんの文章の、こちらの胸倉をつかんで揺すぶるような体当りな文体を、みんなに知って欲しかった。
 もし編集者が聴衆に居れば「ウチで出したい!」と手を挙げるような、そんな形にしたかった。
 それゆえの朗読形式だった。
 幸い、終わったあと、早く雨宮さんの本を読みたいという人が複数居たので、その思いは叶えられたようだ。
 僕は『失恋論』で、自分でも甘いと思っていた箇所を、雨宮さんの文章を読むことで書き直したのだが、その部分を雨宮さんが朗読してくれたのはうれしかった。

 
 第二部はトークが上手な森さんなので、こちらも安心してぶつけたいことをぶつけたが、雨宮さんがやや緊張していたのが気になった。


 第三部は、ある程度会場が引くのを承知の上で試みた。集団の中でAVを見るときの動揺。見ている自分の性癖までさらされてしまうような……雨宮さんはこういう作品を見て、文章を書いているのだなという一端を示したかったのだ。
 雨宮さんにとってのAV。そこでは見ている自分自身の中にある羞恥や恐怖がさらされている。「なぜ、お前は画面のこっちに来ないのか」と言われている。それは「ヘンなモノ、変わったものが好きな自分が大好き」みたいな、あくまで当事者である自分をはぐらかし続ける「サブカル」的な楽しみを通った上で、そこすらも否定せざるを得なかった彼女の信じられるものだった。
 僕は、彼女のような論じ手が居るAVの世界が羨ましいと思った。


 最後に森さんが昔役者として出ていたピンク映画『神田川淫乱戦争』より森さんのカラミのシーンを流す。
 後で激しく後悔したのが、森さんのカラミを流した後で、もう一回雨宮さんに戻り「雨宮さんはなぜAVに出演しないのか」というテーマに突っ込んで終わりにしたら、会場のお客さんによりくっきりと伝わったのではないかということです。
 せっかく嫌がる森さんにも恥ずかしい思いを耐えてもらったのに、やっているときにそこに気づかなかったのは司会としての自分の甘さだった。
 

 会場には森さん関係の出版人やテレビ関係者の方が来られていて、ご挨拶する。森さんと僕の共通の編集担当氏や和光大学で僕と森さんの両方の授業をとっていた学生も何人か来た。
 二村ヒトシ監督が和服で来られていた。二村監督は、雨宮さんに似ていると共通して思っているあの人を会場に呼んでくれた。また会えるなんて!一生感謝します! 雨宮さんの朗読の中で、先述の「自分がなぜAVに惹かれるか」に差し掛かった部分で、彼女は思わず泣いていたと二村さんは言う。しかも彼女は現役時代から雨宮さんの文章を読んでいた。
 僕の連載が今月号から始まる「AVフリーク」の担当鈴木氏と一緒に、甲斐正明監督も来られていた。甲斐監督は森さんに質問し、その熱い応酬に拍手が起きた。

 トーク終わったあとは店が終わる2時まで呑み、あとは数人の編集氏や元学生とゴールデン街で朝まで。