あいかわこうたさん上映会
不肖、私が推薦文を書かせていただいたあいかわこうたさんの全作品一挙上映会が行われます。
井の頭線池の上駅即横のバーガリガリ・シネマボカンというところが会場です。インディーズ映画の上映会といっても、事務机がスクリーンに向かって並んでいるような無機的な場所ではなく、とてもリラックスしてお酒が呑めて映画について語らえる、都会の山小屋のような場所です。
11月11日(土)18:30〜開場
19:00〜開演
場所:バーガリガリ(シネマボカン)
http://www.cinemabokan.com/
作品は僕も推薦文に「ジョン・レノンが追い求めたプライマル・スクリームがここにある!」と書かせていただいたように、形式ばった既製品にはない、あいかわさんの十代から二十代までの成長の軌跡が作品になっていて、インディーズ映画ならではというか、作品と一緒に育まれているようで、ちょっと羨ましい感じがします。
以下、上映される全作品について僕の簡単なコメントを――。
上映作品
『もーえーよ ドラゴン』
あいかわさんは自作自演の監督です。主演者としてかかわっているこの作品では彼の肉体美と強さへの憧れ、ズッコケなどがあますところなく表現されています。
『ハリー・ザ・ビックファイト』
先ごろ唐沢なおきさんによってコミック化されたあの『ウルトラファイト』をハリーハウゼンでやったら……という着想が面白い。
『落ちて・・・』
好きな作品へのオマージュから独立して、自殺衝動に向き合う青年をあいかわさん自身が演じます。月乃光司さんのポエムのように、こういうテーマでもおかしみがあります。
『お父さん』
お父上を亡くされて、あいかわさんが、初めて自分以外のキャスティングで、16ミリフィルムで撮った作品。「自主映画っていいな〜」と思わせる一編で、僕は一番好きです。選曲センスも抜群ですよね。
『ウルトラQ』
僕と同じく怪獣特撮好きのあいかわさんが、まんまその世界に挑戦しています。本家の着ぐるみ特撮に対してあいかわさんがとった手法にはボーゼンとさせられます。必見!
『How To buld GUNDAM』
すべてのオタクはこの作品を見て泣いて欲しい! あいかわさんが自分のヴァルネラビリティを対象化し始めていることが伺えます。派手でもなくカッコよくもないオタクの、でもここには青春映画があります! それを映像化するあいかわさん本人の、ちゃんと女性客も意識した色彩センスも光ります。
『君とラブリー』
精神をわずらったコトのある方なら、そこに自分を見出せるはず。あいかわさんのアクション演技も冴えてます。
『夢の中へ』
ひきこもりの人必見! なにか「底を打った」感のある作品です。あいかわさんが作品における使命を自覚していく萌芽があるのかもしれません。
『森のことだま』
自然保護という単純なテーマではなく、一人の人間の心の森を、自分がメタファーなのか、森が自分のメタファーなのか、わからなくなる酩酊的な映像の果てに、プライマル・スクリームの瞬間が訪れます。夜回り先生は決まりすぎているけれど、この瞬間は信用できると感じさせる一編です。
『僕のやりたい事』
初めて公開される新作。僕もまだ見ていません。新宿歌舞伎町のロフトプラスワンで初めて映画上映したときは、『歌舞伎町の女王』を幾度も聞き直して気持ちを盛り上げて新宿に出陣していったというあいかわさんの、映画への思いがきっと横溢している作品になると思われます。
楽しみ!
入場料は500円。会場で各作品のビデオやDVDの物販もあるそうです。
上映時間は、全部で2時間半位です。今後これ以上新作が増えると、見やすい時間内に一挙上映する機会は持ちにくいと思われますので、いっぺんに見れる最後のチャンスかも!?