仮面ライダー電王




『DEN-O PERSPECTIVE 仮面ライダー電王公式読本』(ミリオン出版)の巻頭に作品論書いています。先週最終回を迎えた番組のガイドブックとして親しんでくだされば幸いです。

  そして「東映ヒーローMAX」次号の連載『仮面の世界』では、『電王』を書き終えた脚本家の小林靖子さんにインタビューしています。実は五年にわたる『仮面の世界』連載の第一回ゲストも小林さんでした。当時は『仮面ライダー龍騎』が放映中でした。
  今回のインタビュー批評では『龍騎』後半も含めて言及しています。

  僕は、『電王』はヒーローものの中で突出して好きです。「弱いやつが強くなる」という爽快感があるからです。
  日本のヒーローものは、初代仮面ライダー本郷猛がそうであるように、もともとIQが高く、運動神経も抜群な男が変身してさらに強くなるというようなものが多い。
  すぐガンつけられてボコボコにされ、道も満足に歩けないような弱いやつが、ひとたび変身すると「俺は最初から最後までクライマックスだぜ!」とか言って暴れまくるというのは、「変身」本来の醍醐味ではないでしょうか。
  しかも、この「変身」、番組を見た人はわかるでしょうが、ひとひねりしてあるのです。
  「人格」が変わるのです(なんと5通りも)。

  そのことによって、この主人公は「のび太くん」とはまた違う形になっているのです。
  このあたりの工夫を伺うのが実に楽しく、番組を見た人なら膝を打つこと請け合いです。
  まだ見ていない人にも、できるだけ興味を持ってもらうように構成しました。

 「俺は最初から最後までクライマックスだぜ!」「僕に釣られてみる?」「俺の強さにお前が泣いた」など、各人格の「キメ台詞」をどうやって考えたのかも、面白い話でした。

  しかもこのやや盛り込みすぎの番組、実は「時間テーマ」でもあるのです。
  ここでも、従来のタイムスリップものとはひとひねりしてあります。
  私が『情緒論』で「ALWAYS 三丁目の夕日」について書いたときに触れたような<時間論>がさらに深化した形で組み込まれているのです。

  詳しくは、「東映ヒーローMAX」次号と「電王公式読本」をぜひ!