白いうんこ

   
    以前『失恋論』という本を出したとき、評論家の小谷野敦さんから「あんな失恋生易しすぎる。あなたは白いうんこを出したことがありますか」と問われ、その迫力に圧倒され「あ、ありませんケド……」としどろもどろになってしまった私です。

   でも、今考えてみると、悩んだり苦しんだりしたからって、うんこが白くなるなどということがあるのだろうか。なにかショックなことがあって一晩で白髪になっちゃったという人の話は聞いたことがあるけれど、髪とうんこは違うのではないか。

   あり得るとすれば、失恋のショックで体調が悪くなり、検査でバリウムを飲んだ……ということぐらいだろう。外から何か胃に注入するということなしには考えられないのでは。

   身体調べるところまで行くぐらいに追いつめられたという意味では、悩み苦しみのバロメーターにならないこともないけれど、白いうんこ自体は、単なる身体検査でバリウム飲んだって出るのではないだろうか?

   あの時やや気押されたのがなんとなく損したと思って、mixiの日記にそう書いてみたら、「この前、白いウンコ出ました。薬とか飲んでません」という人がいました。
   そして、マイミクの伊藤剛さんが、以下の疾患の存在を見つけてくれました。
   http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec10/ch135/ch135c.html
   なるほど、肝臓で生成される消化液である胆汁の流れが阻害され、尿の色が濃くなり、便の色が逆に薄くなるのですね。
   そういう症例はあるのだということは確かなのですね。

   たしかに「うんこが白くなる」って、人に一般的なたとえとして言うことなのかなという思いは拭えません。
   でも、失恋でうんこが白くなるということはありえるのです。