マメシバ一郎 フーテンの芝二郎

 最近柴犬を飼い始めたので、俄然そっち方面に興味持ちだしてます。
 ハマってるのはU局ドラマと映画でやってるマメシバ一郎シリーズ。昨日は 『マメシバ一郎 フーテンの芝二郎』を劇場に見に行きました。

 豆柴の一郎とコンビを演じる二郎役佐藤二朗さんのひきこもり演技からは毎回目が離せません。

 二郎の他者におもねらず、独り言をえんえんと言い自分のリズムで生きている感じにいつも見ていて解放感を覚えるのですが、彼は自分の感情とも向き合っておらず、時にそれで追いつめられます。

 今回の映画『フーテンの芝二郎』では見てる僕にもコミュニケーション不全があるんじゃないか? その理由は自分と向き合うのが怖いからではと刺激され、人はなぜ働くのかという根源的な不安まで突き付けられました。

 二郎は1作目『幼獣マメシバ』の時は幻覚を見てパニックになり留置場に入れられるなどかなりエキセントリックだったけど、だんだん、普通に個性的なキャラに落ち着いてきたようにも見えました。

 でも新作『フーテンの芝二郎』では幻聴に苛まれる危ない感じが戻っていて、これまで彼がぬくまっていた暗黙の了解をひっくり返すような展開もあってスリリング。

 返す刀で自分勝手なペットの飼い主に「犬が大きくなったらかわいくないというのはあんたのエゴじゃない?」と、こういうペットもののドラマで癒される視聴者と飼い主の現実のギャップにまで触れるのには驚きました。だって、これって、マメシバが成長したら「約束が違う」って文句言う人の暗喩でしょう?

 このシリーズは各キャラを演じる人たちが、二郎の両親である藤田弓子笹野高史はもちろんのこと、幼馴染の郵便局員べーちゃん(高橋洋)や、主題歌も歌うペットショップのお兄ちゃん景虎高橋直純)、人間嫌いの獣医さん(穂花)等、みんな魅力的です。

 でも今回の新作映画まで見て特に印象に残ってるのは、微妙に禿げた叔父の芝重男(志賀廣太郎)。この人の人生にとって無駄なんじゃないかというような美声に病みつきになります。

 ひきこもりから脱した筈の二郎が一度ペットショップを辞めて、微妙に禿げた叔父の紹介で禿げ頭をマッサージするいかがわしくちょっと人をだますような仕事に就いて、案外出来てしまうという展開になるのが面白かったです。やりたいことに向き合うより楽って事あるなと、人生の縮図を見る思いでした。

 公開は28日までとのことですが、今度の作品からいきなり見ても十分面白いので、興味を持った人はこの世界にアクセスしてみてください。

 
    http://mameshibaichiro.net/movie/index.html