サンタは本当にいないのか

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本体と並行して、ネット版号外として、公開中の映画『サンタクロースがやってきた』(公開中)の監督・蜂須賀健太郎さんがお勧めするクリスマスに見たい映画についてトークしています。『三十四丁目の奇蹟』と『素晴らしき哉、人生』の二本です。


◇サンタクロース裁判

切通 『三十四丁目の奇蹟』の中では、主人公の老人とは別に、サンタのサンドイッチマンをやっている若者も出てくる。

この若者は、サンタが大好きでサンタになれてよかったっていう素朴な青年で、喜んでくれる人の顔を見るのがうれしい。

ところがサンドイッチマンを雇っているデパート会社かかりつけの精神科医が「彼は父親に愛されなかったから、サンタみたいなありもしないものを信じるのだ」と診断をくだす。

要はトラウマ説を植え付けようとする。ああいうところ、昔の映画なのにむしろ非常に現代的だと思いました。

蜂須賀 それがきっかけで、主人公の老人サンタさんが精神科医のところへ文句を言いにいく、それがオオゴトになって、最終的には老人サンタさんが精神病院に入れられてしまうということになるんですよね。

切通 そして裁判にまでなる。デパートの人達が、内心サンタのおじいさんに心動かされてるのに、自分の責任が問われるかたちになるのがいやだから、精神鑑定に委ねるというプロセスを必ず踏むというのが、実に近代的な都会のルールだなあと。

蜂須賀 そうしたことが積み重なって、なぜか「サンタクロースが実在するのかどうか」が裁判のテーマになってしまう(笑)。

切通 「そんなバカな」と思いながら登場人物たちが自ら巻き込まれてしまうんですよね。

蜂須賀 サンタを裁判にかけるって結果になるんだけど、サンタに味方したくなるように作ってあるっていうかね。あれうまいですよね。

切通 デパートの経営者が出廷させられて「あなたはサンタを信じるんですか」と訊かれると、その場で走馬灯のように思い出すじゃないですか。これまでにあの老人と接している時の色んな子ども達の幸せそうな光景を。

それで「YES I DO」と言う。あそこはジーンときましたね。

 あの瞬間、彼は合理的判断を超えて、自分の心に問いかけたわけじゃないですか。結局彼も一介のサンドイッチマンの若者と通じる感受性を持っているわけです。

 自分がたしかに見た子ども達の笑顔を、否定するわけにはいかないという。

蜂須賀 アメリカ人もそうだし、僕たちもそうだと思うんですけど、映画を見る時に、なにかこう目覚める。自分の中にある何かが目覚めるんですよね。ああいう映画を見ると。

ふだん特別誠実でも善意の人でもないような人が、映画を見た時に、やっぱり、映画が始まる前と、観終わった後っていうので、自分が変化するんじゃないかなっていう。

切通 だから、僕のような汚れた人間にはちょうどいいのかも(笑)。




『サンタクロースがやってきた』

新宿K'sシネマにてクリスマスロードショー!

12/14(土)から12/27(金) 連日10:00より

大阪、シアターセブンにてクリスマスロードショー!

12/21(土)から12/27(金) 連日16:00より

『サンタクロースがやってきた』公式サイト

http://santa-movie.com/

サンタクロース上映前舞台挨拶&会見決定!

12月16日(月)午前10時より

新宿K'sシネマにて、映画に出演したフィンランドの、本物のサンタクロースの舞台挨拶&会見が行われます。


このブログ、明日も蜂須賀監督との対談が続きます。明日も「クリスマスにおすすめの名作映画」について語ります!


監督プロフィール
蜂須賀 健太郎(はちすか けんたろう)
1965年生まれ。デジタル•コンテンツ、ミュージックビデオ、アニメーション、キャラクターなどのさまざまな映像作品を監督。主にファンタジーを基盤としたものが多い。映画作品に、『黄昏のアインシュタイン』(ヴァンクーバー国際映画祭、サンフランシスコ•アジアアメリカ国際映画祭正式出品)、『アクアリウム』(福岡アジア映画祭正式出品)などがある。


三十四丁目の奇蹟』Miracle on 34th Street
監督・脚本ジョージ・シートン
原案ヴァレンタイン・デイヴィス
製作ウィリアム・パールバーグ
出演者 モーリン・オハラ
ジョン・ペイン エドマンド・グウェン
音楽 シリル・モックリッジ
音楽監督 アルフレッド・ニューマン
撮影 チャールズ・クラーク ロイド・エイハーン
配給 20世紀フォックス
公開 1947年
上映時間 96分
製作国 アメリ
DVD販売 http://p.tl/wpUA