「映画の友よ」最新23号配信!


日本映画批評メルマガ『映画の友よ』。

http://yakan-hiko.com/risaku.html

最新第23号、配信中です。


今回は、以下の内容になります!


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Presented by 夜間飛行
“The Book Project 夜間飛行”では、次世代の「本」の形を提案します

切通理作メールマガジン「映画の友よ」

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2014年11月14 日 Vol.023 
パトレイバーと動く人形、そして怪獣><現代のもののけ姫三里塚を生きる』><『アオハライド』友情の公式で恋愛は語れる?><『蜩ノ記』『柘榴坂の仇討』不条理時代劇に見る日本人の自惚れ鏡>ほか

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00 巻頭告知
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あと少しで創刊一年を迎える当メルマガ「映画の友よ」は、今号から、毎月第2、第4金曜日の発行となります。

発行日がズレたのを調整するのと、月アタマの「映画の日」に一日中映画を見る時間を作るため(笑)です。

前回宇宙刑事の「NEXT generation」は熱くレビューさせて頂いたのに、考えてみればパトレイバーの「NEXT GENERATION」はまだでした。今回は実写版『パトレイバー』の最新作と、総監督の押井守が自ら「特撮怪獣映画論」を映像化したかのような「大怪獣現わる」(前・後編)について語りまくります!

私が映画レビューで書いた『蜩ノ記』と、後藤健児さんによる連載寄稿でとりあげたアメリカTVドラマ『ブレイキング・バッド』を通して、人は人生の中で、何を締めくくりとするのかという、中年以降の人間にとって切実な問題が浮上します。

考えてみれば、私がこのような無謀なメルマガを立ち上げたのも、残された時間は決して多くないという自覚による一つの「中年クライシス」なのかもしれません。

ただ依頼された原稿をこなしていたら、あっという間に時間は過ぎてしまいます。
映画について書くという事を請負仕事とするだけではなく、自分の方から何かが出来ないか?
そう思って始めました。

限られた時間の認識は。実は青春映画も同様です。
アオハライド』で描かれる青春は、受動的な時間ではありません。
意識して場を作っていかないと、経験できないまま、過ぎ去ってしまう事が突き付けられていました。

自分の人生を自分の意志で生きるのは勇気が要ります。それは時として、国家大の大きなものと対立してしまうかもしれません。

ドキュメンタリー『三里塚に生きる』を見て、私はそのことを改めて考えました。
でも自分なりに答を出そうとした人の顔は、たとえ形として負け戦であろうと、どこか爽やかに見えるのは、私だけでしょうか。

美しさも、積極的にくみ取ろうとすればさらに輝きます。恒例である俳優論の名手小佳透子さんの連載、今号のテーマは「『君への誓い』で観る、レイチェル・マクアダムスの魅力」。どんなベタでも成り立たせる美女力を徹底解析します。

女優の笑顔一つをこれほど表現豊かに書き表せる人を僕は知りません!歴代主演作品含め考察! 

創刊号以来の、百地優子さんの連載「女子ときどき、ピンク映画」は、AV、ピンク映画両方を知る立場の百地さんが、ピンク映画を120本近く監督した池島ゆたかさんによる、AV業界を題材にした一般映画第一作『おやじ男優Z』を斬ります。

ではどうぞ、御一読ください。


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01 今週の目次
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[00] 巻頭告知
[01] 今週の目次
[02] 動く事と動かない事、あるいは実写とアニメ〜『THE NEXT GENERATION -パトレイバー』最新作「暴走! 赤いレイバー」「THE LONG GOODBYE」
[03] 特撮黙示録1954−2014 押井守の怪獣映画論
[03] 『アオハライド』友情の公式で恋愛は語れる?
[04] 連載寄稿 眼福女子の俳優論 女の子らしさの狭き門〜レイチェル・マクアダムスの魅力 筆・小佳透子
[05]君は「めんどくさい女」が好きか?〜『夜だから Night,Because』
[06]『欲動』は美人監督が挑んだ現代版エマニエル?
[07] 連載寄稿 女子ときどき、ピンク映画 筆・百地優子 第22回『おやじ男優Z』という「イベント」
[08]不器用な男が不器用なまま「日本人の規範」に!?〜『柘榴坂の仇討』
[09] 日本映画最後のフィルム作品で描かれる「最大の不幸は最大の幸福」〜『蜩ノ記
[10] 連載寄稿 カセット館長の映画レビュー 第20回  暴走する「中年の危機」 傑作アメリカTVドラマ『ブレイキング・バッド』 筆・後藤健児
[11] イチオシ映画『三里塚に生きる』はリアル『もののけ姫』であり『風立ちぬ』へのアンサーだ!
[12]あとがき


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01 動く事と動かない事、あるいは実写とアニメ
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■THE NEXT GENERATION -パトレイバー 
・暴走! 赤いレイバー/THE LONG GOODBYE

二脚歩行ロボット・パトレイバーを装備する警察官チーム「特科車両二課第二小隊」の行動を描く。劇中の「レイバー」とは汎用人型作業機械のことで、第二小隊はそのレイバーを悪用した犯罪に立ち向かうために結成されたのだ。

かつてアニメで作られていた押井守総監督による人気シリーズの実写版だが、実写で作り直したのではなく、アニメ版に続くものであり、隊長以下第二小隊の第三世代をレギュラー・メンバーとする。

この発想は面白い。アニメーションで描かれてきた世界の延長に実写がある。
私は以前『愛・地球博』(2005年日本国際博覧会)で、アニメ『となりのトトロ』に登場した「サツキとメイの家」が再現された建物の展示に取材で行った時のことを思い出した。

鍵も何もかけられていない、井戸が見える裏口の土間から覗くと、赤いランドセルが何気にかけられている。ヤカンからは湯気が立っている。

サツキはいまちょっと留守にしている。たぶんホンのちょっとした用なのだろう……そんな風に思ってしまった時、そこでフッと私は我に返った。

「サツキったって、アニメじゃん!」
現実の空間なのに、そこがアニメのキャラクターの居る世界と接続している不思議なトリップ感。

それは、元のアニメが、現実の昭和29年にあったような和洋折衷住宅を忠実に再現していたからだろう。だからこそ、想像上の入れ替えが可能なのだ。

パトレイバー』もまた、かつての劇場版アニメ(『機動警察パトレイバー the Movie』89)では、現実に山手線内の首都高速道路の下に隠されている河川を船で行き、東京の風景を川の側から見て入念にロケハンを行い、フォトエッセイ本『昭和二十年東京地図』など失われた東京の資料を参考に、再開発で取り壊されつつあったり、既に廃墟となった場所を見せた。現実にある風景の先にある、実際にはない建物までもが、そこにあるかのように感じられた。

私はかつて『情緒論』という自著の表紙で、劇場版『パトレイバー』のモデルとなった、『昭和二十年東京地図』に載っている、トタンと瓦屋根が折り重なる風景の中で、トタン屋根の上に猫が乗っている写真を使わせて頂いた。あたかもその奥に、パトレイバーがぬっと出る事を幻視しながら。

その発想は、ある意味実写版パトレイバーの先駆けかもしれない(笑)。


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