フミヤの万華鏡
名古屋市パビリオン『大地の塔』は外壁に水が流れています。近くに寄ると涼しいです。あまり近づくと水しぶきがかかります。アクアウォールというそうです。ここにある、行った人からは不評も聞くことが多い万華鏡ですがこれが意外に良かった。塔の上部にはさまざまな色の液体が組み込まれた直径10.5メートルの円盤3枚が設置され、それぞれが回転、昇降運動を行って直径約40メートルの球体をした姿となる。
ところで僕は自分の部屋にも、七色の半透明のブラスチックの円が何重かになっていて、糸で天井に吊るして風で揺れるようになっているのがあるんだけど、窓を開け放して部屋でぼうっとしているとき、いい感じなんですよ。
その巨大なテクノロジー版という感じがした。日差しによっても模様の見え方が替わり、円盤の組み合わせによって一秒と同じ模様は繰り返さない。それをただぼうっと見上げるというのが最良の楽しみ方だと思います。
壁はクッションみたいになっていてくつろいで見上げやすいです。
最初からなにもかも作られた映像やショーに疲れた身にはとてもいいと思います。
ただ、この場所自体にエンタテイメントを求める人には楽しみ方がわからないかもしれない。
それには「藤井フミヤプロデュース」というアオリが逆効果になっているのではと指摘する声もある。
そこがわかっているのか、僕が取材に行った時点では、広報担当の人も自分からフミヤのことを話題に持ち出すことはなかった。
僕がわざわざ「藤井フミヤさんはどういうかかわり方をしたんですか」と訊いたら、その担当の人は一言「『大きい万華鏡を見たい』という提案ですね」だって。
ウン、シンプルでいいんじゃない。
フミヤは偉い。
万華鏡の筒の中に一度入ってずうっと過ごしてみたい。そんなことを彼も子ども時代に思っていたんじゃないかな。