愛・地球博の映像 アメリカン

PaPeRo2005-08-23

 アメリカ館は一度取材予約して行ったのだが、なにせ若いアメリカ人が中心のスタッフがアバウトすぎて伝言がまったくつながらない。正面入り口の横で待っていたのだが誰も出てこないので近くのコンパニオン女性に「予約した取材で来たと告げたんですが」ともっかい問い合わせたら「それ、アメリカ人に言いました? じゃ伝わってないですね」だって。適当なヤンキーだなあ。
 「裏の関係者入り口から行ってください」と言われてそこに行ってみたら引き戸が半分開いていて中から若いアメリカ人が出てきたので「取材に来た」と言ったらこちらをろくにたしかめもせず「OK」とか言って簡単に通してくれる。他の館は結構身元確認とか厳しくて新聞記者とかでも事前予約がないとNGなのだが、実にアバウト。で、中に入ってみたらそこはなぜか「パーティ会場」で、アメリカ人たちが酒飲んで談笑してる。

 「なんだこりゃー」と思っているうちに次の取材の時間が近づいてしまい、同行の記者さんは「もうここはカット」と次に移動することになった(後で読んだパンフによると、このパーティ会場は『フランクリン・ルーム』で、「世界中のビジネス・リーダーや政府指導者を招き入れる場所」らしい)。

 待っている間にカードで手品を見せてくれるアメリカ人も居たりして、サービス精神はすごいと思ったけど、でも伝言はぜんぜん中に伝わらないというわけのわからなさ。

 あと9・11以降の世界情勢を意識してか他のパビリオンでは見られなかった荷物チェックがあるのにもかかわらず、裏口の関係者入り口はノーチェックという、アメリカ人の厳格さとアバウトさの両面をいっぺんに見た気になった。

 記者さんはすっかり気分を害してしまったのだが、僕は翌日単独行動になってから再度アメリカ館を訪れた。そんなには待たないと思ったので、取材とも特に告げずに他のお客さんと一緒に普通に並んですぐ入れた。

 アメリカ人特有の能天気さで、ベンジャミン・フランクリンに焦点を当てながら「自由」「楽観主義」「探究心」「希望」を謳いあげる映像を見る。

 まず上映会場に入る前にベンジャミンの肖像画の前で簡単な説明。すると肖像画のベンジャミンが動き出して去っていく。「バイバーイ」と背中に声をかけるコンパニオンのアメリカ女性。ジョーク好きのアメリカ人らしい軽いノリだ。

 やがて場内にいざなわれ、『自然の叡智』を讃える映像が始まる。部分的には場内に立体を飛ばして映像とリンクさせたり、雨の場面では実際に客席に霧状の水を降らしたりと、こういう「体感」を意識させる演出は今回のパビリオン映像では各所で見られたが、どことなく子ども騙しの様な気もしてならない。むろん、その場を楽しみに着ている客席からは「オーッ」とか歓声があがってるし、そういうショーアップ要素が普通に必要なのはわかるんだけど。

 科学は自然に学んでいろんなものを作り上げた。ひまわりの花からは、太陽エネルギーを得るということを、蜘蛛の糸からは光ファイバーを、雷からは電気を。
 いまのようなさらに科学が発達した時代に自分も生きたかったと、過去から来た設定のフランクリンが観客に語りかける。

 でも「戦争」のことも兵器のことも一言も言及されない。

 映像を見終わると隣の部屋で1902年に作られたライト兄弟のグライダーの実物大複製を見せられ、その隣には火星探査車と土星カッシーニホイヘンスの宇宙探査機から毎日火星からは5分に一回、木星からは20分に一回送られてくる静止画像が見られる。
 しばし注目するがなにもない平原の写真ばかりなので、まあ「見た」ということで納得。

 展示物の案内は例によって若いアメリカ人が陽気に日本語で。日本語を学ぶアメリカの若者を集めたのだろうか。「くわしくは説明文読んでください。私は読めないですけど。漢字嫌いです」だって。

 足で漕ぐ、下が車輪になっていて上には棒が伸びそこに手でつかまって移動する機械に乗りながら説明するアメリカ人。これもまたロボノイド的。
 出口近くでは排気ガスを出さない燃料電池自動車オートノミーが展示。流線型で『ブレードランナー』に出てくるみたいな形。「自動車を再発明する」というのがキャッチフレーズ。