大橋守さんと対談

PaPeRo2006-06-28

  執筆したゴマブックスの雑誌「Roger」vol.002が届く。
  連載「戦え!! TVっ子 60〜70年代テレビ番組ナビゲーション」第二回はテレビドラマ版「座頭市」と監督・勝新太郎について書いた。
  今回は加えて雑誌のジュブナイル特集と連動した、放映中のドラマ『生物彗星WoO』をめぐって監督・シリーズ構成を担当したNHKディレクター・大橋守さんと対談している。


  大橋さんは僕と同年輩。『地球はウルトラマンの星』での川崎郷太さんのインタビュー、そのひとつの原型となった池袋コミュニティカレッジトークショーでも対談として参加をお願いしたことがある。
  大橋さんは当時特撮ドラマをやりたくてやりたくて、一足先に円谷もので活躍している川崎さんたちの才能に同時代のクリエーターとして注目していた。
  プライベートでお会いした時、早送り、巻き戻しや一時停止ボタンを駆使して『ティガ』の川崎演出の巧みさを解明していく大橋さんの名調子を見て、これは単に僕がウルトラマンの監督にインタビューするよりも、同時代のクリエーターからいまの時代の特撮演出がどう見えるのか、ということの方が面白いと思ってお願いしたのだ。


  僕はその経験から、「監督ってなにをする仕事なの?」ということを学んでいった。それまでの僕は『怪獣使いと少年』という脚本家に焦点を絞った本を出したことがあっても、監督の仕事についてはイマイチ霞がかかったように感じていた。
  自分の企画でもなく、シナリオすら準備稿レベルまで既に完成されている内容であったとしても、監督によって演出がどう変わるのか。現場に行くと、アクションは毎回同じ助監督が殺陣を付けて監督に見せるのに、仕上がった映像は監督によってまったく違って見えるのはどうしてか。


  この頃の経験がなかったら『宮崎駿の<世界>』『山田洋次の<世界>』を書く勇気は生まれなかっただろう。
  自分の文筆活動において、ある重要な飛躍の契機を作ってくださったのが大橋さんなのだ。
 
  大橋さんは特撮以外の映画もアート系娯楽系かかわらず見尽くしているばかりではなく、本の知識も凄かった。次々にドラマの原作を企画として提示していく意欲のある大橋さんは、ブレイクする直前の作家や、まだ知られていないけれど面白い小説を次々と教えてくれる。ハッキリ言って、彼に比べればぜんぜん勉強していないといえる出版関係者はいっぱいいると思った。
  などと偉そうなことはいえない。僕自身、彼に存在を教えてもらって興味を持った作家はたくさんいるのだから。
 
  少年ドラマシリーズの精神を現代におけるリアルタイムの表現にすることにチャレンジしてきた大橋さんが、ついに円谷プロと組んでドラマを作る。
  それも、円谷英二金城哲夫が、ウルトラマン以前に企画していた幻の企画『WOO』に着手するといのだから、否が応にも期待は高まる。

  NHKの試写で、大橋さん演出による1・2話を見たとき、圧倒された。
  子どもの頃から、どこか願っていた「みんななくなってほしい」という気持ち。学校の仲間がみんな消えてしまう。そんな視聴者の自分の気持ちを具現化しながらも、主人公は必死に生きていこうとする。これは現代の「漂流教室」だ!
  その興奮を胸に、大橋さんとのトークが始まった。
  
  今回の「Roger」では、名前は出していないが音楽担当のゲイリー芦屋さんと大橋さんの対談も構成した。
  劇伴大好きのゲイリーさんと大橋さんの対談からは「大人がこんなにも楽しくひとつのものを作っている!」という息吹を感じた。
  日本ほどいろいろなものが食べられる国はないと言われているけど、それは音楽についても同様なのではないかということを思わせる、ゲイリーさんの文化論もそれとなく入っている。
  ワンダバ談義もあり。
  ゲイリーさんには、いつかウルトラマンの音楽やってほしいなあ。


  今日は表参道近くのNADIFFで冬に出る本に関連して人と会う。
  行きの電車で知り合いのライター氏(最近テレビでよく見る)と偶然再会。少し立ち話する。
  打ち合わせの帰りは、夏に着る服買ってないことに気づき、竹下通りのBOWL-O-RAMAで4着買う。バッグもひとつ買う。
  Tシャツでガーフィールドにキバが生えて背びれがついてるのがあった。
  ガーフィールドになにが起きたのだろうか。
  FRESH BOXでなにやら決意顔のミッキーマウスのTシャツも買う。やたらサイズがデカイ。

  帰りは阿佐ヶ谷の蕎麦屋福寿庵で蕎麦焼酎呑む。蕎麦湯割りというの初めて呑んだがなんともヘルシーな感じ。
  帰ってユーハイムのバームクーヘン食べる。  


  行き帰りの電車で佐藤友哉の短編読む。残すところあと一編。
  特撮誌の参考本読了。
  秋に出る予定の本の原稿読み返して小直し。
  季刊誌の校正FAXで送り返す。