「情緒論」せつないイベント&先行発売

 新刊『情緒論〜セカイをそのまま見るということ』は、批評家阿部嘉昭さんの使う「不如意」という言葉が大切なキーワードとなっています。

 「不如意」というのは、ままならない、もどかしい、ということを意味します。
 それはつげ義春のマンガで、田舎の少女が「せつないです」と言うのに、僕の中では通じます。
 たとえば着物がうまく身体に合わなくてもどかしい、そんなことでも「せつない」という言葉を使う、温泉宿で出会った少女。
 つげ義春は言います。そんな少女が、もうちょっと成長して恋を知ったら、そのときのもどかしい思いをどう表現するのだろう、と。
 
 阿部さんはまた、散歩のことを「世界の疲労と触れ合うことだ」と言います。
 散歩者とは、好奇心一杯のポジティヴな「路上観察者」などでは断じてない。どこか病んでいる。しかし散歩というのは有限の時間で、決して帰って来れなくなるわけではない。
 そんなときに、ふと見かけたガードレールや、空き地に放り出されている錆びた自転車、夕焼けに伸びている鉄塔……。
 そのような「名づけえぬ時間」に言葉を届かせようとしました。

 この本の刊行記念トークショーには、その内容を書くに当たって多大な影響を与えてくださった阿部嘉昭さんご本人に、ぜひともご登場いただきたいと思いました。
 幸いご了承いただき、阿部さんとの対談が実現します。
 皆さん、ぜひいらしてください!

『情緒論〜セカイをそのまま見るということ』(春秋社)
刊行記念トークショー
切通理作×阿部嘉昭 

日時:2007年10月7日午後3時開演 (午後2時30分開場)
場所:三省堂神田本店8階会議室(http://www.enjoytokyo.jp/OD003Detail.html?SPOT_ID=s_13004065
入場料:500円

阿部嘉昭 (あべ・かしょう)
1958年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒。編集プロダクションや映画製作関連会社,出版社勤務などを経て,現在,映画・サブカルチャー評論家,立教大学特任教授(サブカル論)。著書に,『北野武vsビートたけし』(筑摩書房),『AV原論』(関西学 院大学出版会),『松本人志ショー』,『精解サブカルチャー講義』,『実践サブカルチャー講義』,『椎名林檎vsJポップ』(以上、河出書房新社),『日本映画の21世紀がはじまる』(キネマ旬報社),『少女機械考』(彩流社)他多数。

 そして、『情緒論〜セカイをそのまま見るということ』を神田三省堂で先行販売します。刷り上ったばっかりの9月28日から三省堂で先行販売です。(全国書店は10月1〜3日に入荷の予定です)。

 皆さん、ぜひ手にとってください!