サイゾー誌のポニョ特集

   
   出たばかりの「サイゾー」誌で『ポニョ』の賛否を問う特集があり、町山智浩さん、宮台真司さん、東浩紀さん、宇野常寛さんと、そして僕もインタビューに答えています。
  それぞれの論客が点数をつけているのですが、僕は「10点」つまり最高点で、だからなのか、一番最初に掲載されています。最後だったら絶賛が特集の結論めいてしまうのでそうなったのではないかと推察します。

 でも「10点」の私よりも「5点」「9点」「7点」をつけた他の論客の熱さに圧倒されました。皆<オレだけが宮崎駿をわかっている>と語り、それがわからない自分以外の者に苛立っているように見えます。
  つまり宮崎作品と語り手が直結している。そのこと自体を突き放して「どうでもいいじゃないか」という人は一人もいないのです。
  これだけ論者が違うのに、みんなにそう思わせてしまう宮崎駿ってやっぱりスゴイ!と思ってしまいました。
  
  僕が『宮崎駿の<世界>』を書くとき、解説の川本三郎さんの指摘にあるように、出来るだけ多声的に構成しています。一つの見方を取ったとき、そこに対して他の論者はどう語っているのかをそれぞれの同時代の声として見つめてみました。
  本能的にそうしたのですが、この「サイゾー」の特集を読んで、自分が一冊の本としてそのような方法を取った理由がわかったような気がしました。

  なにかのフォルダに入れてすませてしまえばラクなのに、そう出来ない余剰が必ずある。なのに見ていて染み込んでくる。宮崎駿はこわい作家です。

  もちろん僕も自分なりに確信を得て書いているのですが、他者の意見を読むと、同じピースが全く違う模様を成していて、それはそれで整合性はあるので、改めて驚かされます。
 そしてうろたえながらも「でも……」と思ってしまう。そんな運動性を、トークイベント当日は正直に曝してみたいと思います!

  竹熊健太郎、氷川竜介両氏とのトークでは当日どんな話が出るでしょうか。この特集を踏まえて余計に自分自身楽しみになってきました!
  



 ※『宮崎駿の<世界> 増補決定版』(ちくま文庫)刊行記念

  「アニメ昼話 ポニョとハヤオを語りたおす!」

     宮崎駿は<神>なのか? あるいは破綻した作り手か? 
     全作品に隠されたものをさぐる。

【出演】切通理作(著者)
    竹熊健太郎サルでも描けるまんが教室
    氷川竜介 (BSアニメ夜話・アニメマエストロ)

   11月3日(月・祝)

   OPEN 12:00 / START 13:00  前売¥1000/当日¥1500(共に飲食代別)

   会場 ロフトプラスワン (新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2 03-3205-6864) http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/

    前売は店頭およびネット予約
    こちらで即予約可能
    →http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/reservation/