遠い日の約束

 今月も終わり近いですね。
 今月印象的だったことは、11日に歌手の椛田早紀さんのライブに行ったことです。
 足掛け二年前に結成したユニット「tokage」での初ワンマンライブでした。モーニング娘。の追加オーディションに最終16名まで残り、ASAYANの敗者復活戦でデビューの座を勝ち取ったものの、せっかく手にした恵まれた歌手デビューの路線を、アイドルからシンガーへ本格的にシフトしたく再デビュー再チャレンジを重ね、現在ギターの男性Eiriとのユニット「tokage」としての初ワンマンショーに漕ぎ付けたといいます。

  それだけ今回は、自分の納得のいくメンバーであり楽曲の方向だったのだと思います。MCでは彼女の両親も大分から駆けつけていたことが披露されました。

  最初の「逃げられないや」という歌いだしからすっかり摑まれてしまいました。
  「微炭酸な飲み物のような、心地良い刺激」のあるものが好きだと早紀さんは昔言っていましたが、ベース、ドラム、ピアノの達者なサポートバンドに囲まれた小柄な可愛い女の子が真ん中で歌うというのにはやっぱり堪らないものを感じます。自分の気持ちの芯を温かくします。
 ロック思考の音だが詩は高校時代を思わせる爽やかな青春ソング中心のよう。自分の作った詩をていねいに歌い上げながら、身を震わせたり顔を左右に振ったりと、ほぼ完璧な場面場面のボディパフォーマンスを見せます。
 前半はピンクのTシャツにブルージンがキュート極まりなく、衣装替えではカジュアルなドレス風、アンコールではオリジナルグッズとして場内でも販売されたのと同じシンプルなデザインの白Tシャツに、チェックのミニスカートの合わせには思わずときめいてしまった。
  
  端正な顔立ちと小リスのようなあどけない目元は、ワイルドにはなりきれず、しかし「こんな歌を歌いたい!」という勢いがその場を充実させとってもシアワセな気持ちになりました。
  自分の歌いたい歌を思う存分歌いたい!という願望に火がついたら止まらなくなったと、昔早紀さんが言っていたのを昨日のことのように思い出します。
  会場で買ったCDを家で聴きました。『放課後blue』『雨色』『早熟』という曲が特に好きです。
 『Black Yesterday』という曲での「ねえ ここで倒れたら もっと 自由に なれるかな」にはドキッとしました。そういうことを思うこともある早紀さんが、こうして元気にステージで素敵に輝いているのに、年長の私も勇気づけられました。その後、この歌はもう何回も聴いています。
  なんだか、遠き日にした自分との約束を思い出させられるような気持ちになります。

 私は見た目44歳ですが実際は60代の体力なので、立ちっぱなしのライブハウスは今後どんどんキツくなってくるかもしれませんが、五年後、十年後にもまたその歌唱に生で触れたらかえって元気になるかもしれないと思いました。