判決延期、そして未来への遺言〜丸田祥三氏『棄景』剽窃被害9

 先日お知らせした、丸田祥三氏が小林伸一郎氏を訴えた裁判の判決が、11月30日(火)から、12月21日(火)に延期になりました。
 午後4時、東京地裁627号法廷にて言い渡されることになりました。

 早く結果を知りたいという気持ちもありますが、この裁判は、表現のこれからの未来を考える上で、分水嶺になるかもしれないだけに、裁判所もそれだけ審議に時間をかけておられるのかもしれません。

 今年8月24日に亡くなられた、『千年女優』『東京ゴッドファーザーズ』などの作品で知られるアニメ監督の今敏さんは、ご逝去の12日前、この裁判における丸田氏の訴えについて、検証サイト(http://haikyo.kesagiri.net/)を読んだ上で、Twitter上にこうつぶやいています(「konsatoshi」名義)。

[私も映像に携わる末席に連なる者だ。幾組か見比べるまでもなく直感する。さすがにまずいでしょ。]
2010-08-12 04:16:19

 この盗用疑惑が確定的であることを今監督は直感していました。
 今氏は、自分が丸田氏ではなく、小林氏の写真集を持っていることに責任すら感じています。

[「廃墟」は私も特に好みの一つだし、問題になっている「後発」の人の写真集を何冊か持っている。資料として、好みの物として。だからちょっと「疚しさ」も覚える。]
2010-08-12 04:13:17

 写真界の自浄努力がなされなかったらしいということも見抜いています。

[業界におけるパワーバランスの被害が、さらに火に油を注いでいるというのもまったくもって不快な話だ。程度の差はあれ「よくあること」かもしれないが、絶対よくないことだ。]
2010-08-12 04:20:02

 そして、この話題をこう締めくくっています。

[「パクる」のは豊かさにもつながり得るが、アートにおいて「盗作」は倫理にもとる犯罪だろう。心根が廃墟だ。…ありゃ、なんかつまらない締めになっちゃった。もう一服して気分を直して夢でも見よう。]
2010-08-12 04:27:44

 今氏はこの時期よりも早くから、自らの死期を悟っておられました。
 映画界の優れた才能が、その最後期に残した言葉には、未来に足を掛けているように感じられます。

 未来への一歩を踏み出す判決を、ひとえに祈ります。