クリスマス、君がいない世界
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本体と並行して、ネット版号外として、公開中の映画『サンタクロースがやってきた』(公開中)の監督・蜂須賀健太郎さんがお勧めするクリスマスに見たい映画についてトーク。今日はその四回目。『素晴らしき哉、人生』編です。
◇素晴らしき哉、人生
蜂須賀 『素晴らしき哉、人生』も、毎年アメリカのクリスマスシーズンになると、テレビで放送されて、放送されるたびに、『三十四丁目の奇蹟』と同じように、新しい時代のお客さん、若い人たちとかをも魅了してくれるような映画だと思うんです。
『素晴らしき哉、人生』は1946年の映画で、作られた当時は、実はあんまり評価されていなくて、興行的にもうまくいってなくて、テレビで放送されるようになってから、だんだんじわじわと良さが伝わっていった映画なんです。
これもドラマの部分が好きな映画です。誠実な男性が、父親の会社を引き継いで、誠実なために色々苦労をして、部下がお金を落としてしまったことで破産に追いこまれて、死んでしまおうとするんだけど、そこへ「翼を持っていない天使」がやってきて、助けてあげる。
切通 この天使が、普通のおじさんなんですよね。
蜂須賀 そうそう。その天使は、主人公がもし生きていなかったとしたら、どんなことになっていたであろうかということを、一回見せてくれるんですよね。一種のパラレルワールドと思うんですが。
彼がもし存在しない世界だったら、周囲の人がマイナスな方向に行ってしまうということを、垣間見るんです。自分の人生の、幼い時代から現在までを。
それを体感することによって、自殺しようと追い込まれていた彼が、そうであっちゃいけない、もう一度元の世界に戻りたいと思う。
そしてまた元の世界に戻ってくると、実は幸せが訪れていると。
『三十四丁目の奇蹟』とちょっと似てるかなと思うのは、全米中の色んな人たちがサンタを支えてくれるわけじゃないですか。『三十四丁目の奇蹟』では。
『素晴らしき哉、人生』でも、困った彼を助けるために、彼に助けられた人たちが、お金を、みんなで集めてきてくれるっていう。
かつて彼は、自分が損をすることをするってことも覚悟の上で、証文も取らないで、お金を人々に貸したことがある。それが最後返ってくる。
みんな、人々の心が一つになっていくっていうくだりが、すごく『三十四丁目の奇蹟』と似てるけれども、そういうところで泣けるところがあったりしますよね。
『サンタクロースがやってきた』
新宿K'sシネマにてクリスマスロードショー!
12/14(土)から12/27(金) 連日10:00より
大阪、シアターセブンにてクリスマスロードショー!
12/21(土)から12/27(金) 連日16:00より
『サンタクロースがやってきた』公式サイト
サンタクロース上映前舞台挨拶&会見決定!
12月16日(月)午前10時より
新宿K'sシネマにて、映画に出演したフィンランドの、本物のサンタクロースの舞台挨拶&会見が行われます。
このブログ、明日も蜂須賀監督との対談が続きます。明日も「クリスマスにおすすめの名作映画」について語ります!
監督プロフィール
蜂須賀 健太郎(はちすか けんたろう)
1965年生まれ。デジタル•コンテンツ、ミュージックビデオ、アニメーション、キャラクターなどのさまざまな映像作品を監督。主にファンタジーを基盤としたものが多い。映画作品に、『黄昏のアインシュタイン』(ヴァンクーバー国際映画祭、サンフランシスコ•アジアアメリカ国際映画祭正式出品)、『アクアリウム』(福岡アジア映画祭正式出品)などがある。
『素晴らしき哉、人生!』
It's a Wonderful Life
監督フランク・キャプラ
脚本フランク・キャプラ
フランセス・グッドリッチ
アルバート・ハケット
原作フィリップ・ヴァン・ドーレン・スターン
『The Greatest Gift』
製作リバティ・フィルムズ
フランク・キャプラ
出演者ジェームズ・ステュアート
ドナ・リード
ライオネル・バリモア
ヘンリー・トラヴァース
音楽ディミトリ・ティオムキン
撮影ジョセフ・ウォーカー
ジョセフ・バイロック
編集ウィリアム・ホーンベック
製作会社Liberty Films
公開 アメリカ1946年12月20日
日本 1954年2月6日
DVD販売 http://p.tl/wpUA