サンタは神様じゃない
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本体と並行して、ネット版号外として、公開中の映画『サンタクロースがやってきた』(公開中)の監督・蜂須賀健太郎さんがお勧めするクリスマスに見たい映画についてトーク。今日はその5回目。これまで語ってきた『三十四丁目の奇蹟』『素晴らしき哉、人生』に共通する要素について話しました。
◇特別な奇跡として描かない
切通 僕は以前クリスマス論の本を書いた時に色々調べたんですけど、そもそもサンタクロースっていうものは、純粋に宗教的な教義から生まれたものというより、民衆の側の願望との接点で生み出されたものなんですよね。
蜂須賀 サンタクロースは聖ニコラウスだとか言うけど、フィンランドに行くと宗教色みたいなものはまったくなくなってしまう。
切通 サンタクロースイコール聖人っていう位置付けではないんです。あくまでプレゼントを配る人だっていうことで。
もともと世界各地の原始習俗に似たような存在が居たんですよね。それがキリスト教に習合されて、かたちを変えて生き残った。
蜂須賀 そうそう。
切通 利他心と言っても、本当に入定しちゃったり、出家しちゃったりする人なわけじゃない。
蜂須賀 たしかに。特別な聖人とかではないですよね。
あと、この『三十四丁目の奇蹟』『素晴らしき哉、人生』の二本は特に、ファンタジーとして特別な仕掛けとか、映像的な特撮とか合成とかっていうのが、まったくどちらもなくて……。
切通 星どうしがちょっとまたたいて会話してるぐらいだよね。
蜂須賀 『素晴らしき哉、人生』の最初でね。
切通 エフェクト的な奇跡ではないということですね。
蜂須賀 たとえばいまのファンタジー映画には映像の仕掛けとかが一杯あって、日本のものも含めて、映像の力で見せていくっていうのは、たしかにいまの映画のあり方としては素晴らしいと思うんですけれども。でもいわゆるCGとかを使って出来ているわけではなくて、日常にある現実の、ホントに二歩か三歩か、ちょっと上がったぐらいのところで、語られていく映画じゃないですか、どちらも。
『サンタクロースがやってきた』
新宿K'sシネマにてクリスマスロードショー!
12/14(土)から12/27(金) 連日10:00より
大阪、シアターセブンにてクリスマスロードショー!
12/21(土)から12/27(金) 連日16:00より
『サンタクロースがやってきた』公式サイト
サンタクロース上映前舞台挨拶&会見決定!
12月16日(月)午前10時より
新宿K'sシネマにて、映画に出演したフィンランドの、本物のサンタクロースの舞台挨拶&会見が行われます。
このブログ、明日も蜂須賀監督との対談が続きます。明日も「クリスマスにおすすめの名作映画」について語ります!
監督プロフィール
蜂須賀 健太郎(はちすか けんたろう)
1965年生まれ。デジタル•コンテンツ、ミュージックビデオ、アニメーション、キャラクターなどのさまざまな映像作品を監督。主にファンタジーを基盤としたものが多い。映画作品に、『黄昏のアインシュタイン』(ヴァンクーバー国際映画祭、サンフランシスコ•アジアアメリカ国際映画祭正式出品)、『アクアリウム』(福岡アジア映画祭正式出品)などがある。
『素晴らしき哉、人生!』
It's a Wonderful Life
監督フランク・キャプラ
脚本フランク・キャプラ
フランセス・グッドリッチ
アルバート・ハケット
原作フィリップ・ヴァン・ドーレン・スターン
『The Greatest Gift』
製作リバティ・フィルムズ
フランク・キャプラ
出演者ジェームズ・ステュアート
ドナ・リード
ライオネル・バリモア
ヘンリー・トラヴァース
音楽ディミトリ・ティオムキン
撮影ジョセフ・ウォーカー
ジョセフ・バイロック
編集ウィリアム・ホーンベック
製作会社Liberty Films
公開 アメリカ1946年12月20日
日本 1954年2月6日
DVD販売 http://p.tl/wpUA