脚色とはこういうことだ

メルマガ『映画の友よ』
先週末より発行の第5号、特集のひとつが
「映画と身体、そして原初の記憶」です。
http://yakan-hiko.com/risaku.html

この特集をしようと思った最初のきっかけは、22日から公開の『赤×ピンク』を見たことです。

『赤×ピンク』はガールズブラッドという秘密クラブで、地下女子プロレスをやっている女性たちの群像劇。前回の『映画の友よ』レビューの中ではイチオシでした。

女性同士の格闘、ガチバトルが見事にドラマとして昇華されています。
ヒロイン芳賀優里亜のヌードシーンも、主人公が性同一障害という設定なので、単純なレズシーンとも違いますし、単なるラブシーンではなく、それもまたこの映画独特の身体のぶつかり合いになっていると思いました。

そしてそれが、見事にドラマの軸と合っています。

格闘もので主人公がファイターとして強くなっていくっていうことと、恋愛を物語を結びつけるということは、普通はたとえば男性が女性を守るとか、一緒に敵に立ち向かうとか、そういうことになると思うのですが、この映画にはそういう要素も押さえながら、ちゃんとその先に、両者が融合し、止揚する局面が描かれています。

そしてそれこそが、この映画の、桜庭一樹原作にはない、オリジナルな部分であり、オリジナルでありながら、原作の持っている構図を、見事に活かしていると私は思いました。

『赤×ピンク』は戦いの中で己が解き放たれ、また居場所の再確認がされる映画でもあります。

今回の第5号では、脚本の港岳彦さんから、桜庭一樹原作との「格闘」についてお話を伺っています。

映画における「脚色」とは何か、その一つの側面が伺える記事になりました。
ぜひご一読くだされば幸いです。



第5号目次

[01]特集・半世紀をかけた「問い」
1 長編批評『ディズニーの約束』〜父親としてのメリー・ポピンズ
2 対談『男はつらいよ』と僕たちの50年〜寅さんの“ことば”を伝えるということ
佐藤利明×切通理作 

[02] 特集・映画と身体、そして原初の記憶
1 『赤×ピンク』脚本・港岳彦に聞く、桜庭一樹原作との「格闘」
2 寄稿 眼福女子の俳優論  筆・丸茂透子 ストリッパー出身の、踊り続けるハリウッド俳優・チャイニング・テイタム論 映画『マジック・マイク』より
3 この身体能力に女優魂を見た!『アイドル・イズ・デッド』DVD発売記念・和田みさ(「MOOSIC LAB」女優賞)インタビュー 
4 『華魂』ファイナルトーク 監督・佐藤寿保が語る 「おぼこ」と「糠床の匂い」に原初の記憶がある

[03] 日本映画ほぼ全批評
魔女の宅急便(実写版)
・愛の渦
・相棒 劇場版3
・トリック ラストステージ
・年上ノ彼女
・いんらんな女神たち
・ジャッジ!
・ほとりの朔子

[04] 新連載・カセット館長の映画レビュー  寄稿・後藤健児
第2回 ゲームと映画をつなぐ「ゾンビ」の歴史 

[05] 連載寄稿 女子ときどきピンク映画 筆・百地優子(脚本家) 第5回「お正月映画としての『痴漢電車』」

[06] 連載・特撮黙示録1954−2014 第4回 円谷英二ライフワークのもととなった稲垣足穂の『ニッポン・ヒコーキ野郎』と<飛行機の墓場>がつなぐ『風立ちぬ』への射程


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