風景と超人、そして眼力〜映画の友よ最新号・目次です!

日本映画をほぼ全部見て、作り手の方や、映画について語り合いたい人に会いに行くメルマガ『映画の友よ』。
http://yakan-hiko.com/risaku.html
最新第7号、配信されました。


今回は、以下の内容になります!

[00]ごあいさつ

[01] 長編批評・転落する若者たち〜『東京難民』と大学講師を辞めるの弁

[02] 特集・超人がくる!

1 ウルトラマンシリーズ最新作!早稲田大学「怪獣同盟」による『ウルトラマンギンガ』劇場版公開前に全話がわかる総力特集

2 カセット館長の映画レビュー  寄稿・後藤健児
キック・アス ジャスティス・フォーエバー』に見る<暴力の永続性>と<超人の孤独>

[03]眼福女子の俳優論 寄稿・丸茂透子 世界にひとつの貫録〜ジェニファー・ローレンス世界にひとつのプレイブック』より

[04] 日本映画ほぼ全批評

・仮面ティーチャー
・祖谷物語 −おくのひと−
・ハロー!純一
・ニシノユキヒコの恋と冒険
・5つ数えれば君の夢
花と蛇ZERO
・イヌミチ
・家路
・乱交の門 むさぼり調教 

[05] 連載寄稿 女子ときどきピンク映画 筆・百地優子(脚本家) 
   第7回 ピンク映画女優とは?〜眞木あずさ引退に寄せて

[06]セクシー・ダイナマイト 
 SM女王様・更科青色さんと見る『トパーズ』 第2回〜「ポルノじゃないフェチ」とは?

[07] 「山田洋次監督その人を知る」〜娯楽映画研究家・佐藤利明さんに聞く(最終回)

[08]連載・特撮黙示録1954−2014 第6回 それは『キングコング対ゴジラ』から始まった

[09]あとがき、次回予告など 


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今回の「ごあいさつ」
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同じ映画でも、薄闇の中に座って大きなスクリーンに投影された状態で見るのと、テレビや端末にたまたま映し出されたものを片手間に見るのとでは、全然違います。

それは、現実も同じことではないでしょうか。生きて体験していることであるはずなのに、鋭敏にキャッチしている場合と、ただの風景としてしか見えていない場合とがあります。

フロントページの長編批評「転落する若者たち〜『東京難民』と大学講師を辞めるの弁」は、今回、個人的なところから話を始めさせて頂きましたが、現実が風景にしか感じられなくなったり、逆に風景でしかなかったものが突然体験として浮上する瞬間について書いています。

そして今回、初めて寄稿頂くのは、早稲田大学のサークル「怪獣同盟」の皆さん。彼らには、15日から劇場で公開され、テレビでも放映されていた現役ウルトラマンであり、高校生が変身する『ウルトラマンギンガ』の総力特集を担当してもらいました。

かつて90年代末、平成のウルトラマンの皮切りとなった『ウルトラマンティガ』という16年ぶりのウルトラマンが放映された時、特撮専門誌でもないコミック・ボックスという雑誌があえて番組にエールを送って総力特集を組み、中島紳介さんという、特撮の伝道師のような方に全話の紹介とレビューを依頼し、番組を見ていた各界の人々のアンケートを載せ、私も参加させて頂きました。

『映画の友よ』でもそのようなことをやってみたく思い、平成ウルトラマンを幼児期にテレビでて育った現役早大生が受け止めたものを、新たな世代の声として届けてもらいました。

サークル「怪獣同盟」は東映で『仮面ライダークウガ』『仮面ライダー響鬼』、角川で『大魔神カノン』のプロデューサーを務めた高寺成紀さんが学生時代に作ったサークルで、現在に至るまで30余年存続。田崎竜太監督、塚田英明プロデューサーなど特撮界で知られた人々を輩出しています。

昨年彼らが早稲田祭で『ウルトラマンギンガ』のトークショーを開催し、脚本の長谷川圭一さん、監督のアベユーイチさんとともに、私(切通)もゲストとして呼ばれたのが本格的な出会いでした。

その際、打ち合わせでは語られていた、ウルトラマンに対する年長のスレたマニアにはない清新な感想が、本番ではあまり紹介出来なかったのが残念でした。

そこで今回お願いして、書いてもらったのです。

正直、依頼したこちらの期待を上回る充実した原稿です。同じ番組を見ていても、彼らにはここまで濃密な時間に感じられていたのかと。頼んでよかったと思いました。
彼らにとってテレビは風景ではなく、まぎれもなく<体験>なのだなと確信が持てました。

オンラインビデオレンタル店「カセット館」を経営され、DVD化されていない知られざる映画を見る機会を我々に提供する後藤健児さんによる原稿「『キック・アス ジャスティス・フォーエバー』に見る<暴力の永続性>と<超人の孤独>」もいい原稿です。

この原稿は、『映画の友よ』創刊号で「イマイチだった」と書いた、私の『キック・アス ジャスティス・フォーエバー』評への反論にもなっていると思います。ここでもまた、私は「見えていなかったもの」について鮮やかに突き付けられました。

キック・アス2』は、日本で言うとヤクザVシネのような報復の連鎖の物語になってしまったような気がして、粗雑に感じてあまりノレないなと思っていたのですが、アメコミについての知識が豊富な後藤さんの原稿を読ませて頂いて、原作であるアメコミの時点で、自衛というものが息づいているかの国ならではの「暴力をふるうことのリスク」という要素があったことがより深く印象づけられ、見方が変わりました。

2回目となる、SMの女王様・更科青色さんとの映画トークでは、80年代末、地下室から高層階の窓際へと、フェティシズムの光景が変わったことが話題になっています。地上から見上げる高層ビルの窓際と、そこから見える景色との往還。これも一つの視点の転換かもしれません。

「フェチこそ映画の原点」だと私は思います。

「娯楽映画研究家」の佐藤利明さんとの対話。最終回となる今回は、出来上がった作品だけではなく、実際に接した山田洋次監督の人となりから受け取ったものについて語って頂きました。思わず懐がほっこりするような内容です。

前回言い忘れましたが、連載寄稿として、前回から始まった山口あんなさんの「世界を知るための映画」と、丸茂透子さんの「眼福女子の俳優論」は、今後隔号ずつ、交互の掲載となる予定です。

今回の「眼福女子の俳優論」に書かれてあるジェニファー・ローレンスの眼力のように、まっすぐに物事を見通す力を持つメルマガにしていきたいと思います。


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