『花火思想』に出会った日
今年1月25日に渋谷ユーロスペースで公開された映画『花火思想』。
今月から、関西で上映展開が始まります。
4月26日から5月9日まで、大阪第七藝術劇場
5月10日から23日まで、京都立誠シネマ。
そして5月17日にはふたたび東京の、ポレポレ東中野で木村文洋監督『へばの』と同時上映。
昨年12月からスタートし、日本映画をほぼ全部見て、作り手の方や、映画について語り合いたい人に会いに行くメルマガ『映画の友よ』。
http://yakan-hiko.com/risaku.html
その準備段階で、公開中の映画や、試写に通う日々が始まった最初の日に出会ったのが『花火思想』でした。
この時の「頭を殴られたような衝撃」は、こちらのブログでもUPしています。
http://d.hatena.ne.jp/PaPeRo/20131228
「この映画で描かれたものを、私はまだ冷静に解釈し直すことが出来ていない。
ただ、傷跡そのものとして私の中に宿った。
それがなんなのか、私はこのメルマガを続けていく中で考えていくのだろう。
いきなりすごい作品と出会ってしまった。
この作品と出会っただけでこのメルマガを始めた意義があった」
そして、『映画の友よ』第2〜5号で、監督の大木萠さんと、脚本・撮影の阿佐谷隆輔さんとトークしました。
今回から何度かにわたって、関西での公開に合わせ、そのエッセンスをこちらのブログにもUPします。
「一人でも多くの人が、劇場でこの衝撃に立ち合ってほしいと思う」と書いた気持ち、いまでも変わってません!
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第2号掲載 │『花火思想』公開前連続トーク 第一回
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楽器を持つことがロックじゃない。生き方でロックするんだ――。
そんな気恥ずかしいばかりの思いを持って生きようとする青年。
行くあてのない自分をそのままのかたちで見つめるために、フト出会ったホームレスの男についていく――。
ただひたすらその初期衝動のみで作り上げたような……、
映画メルマガを始めた出会いがしらにぶつかってしまったこの衝撃から、目をそむけるわけにはいかなかった。
1月25日からの公開を前に、監督の大木萠さんと、脚本・撮影の阿佐谷隆輔さんとトークする、今回は第1回です。
切通 『花火思想』僕は衝撃を受けたんですが、その衝撃を抽象的じゃなく言おうとすると、ネタバレしなければならない。
べつにネタバレしても特に鑑賞に影響ない映画もありますけど、この作品に限っては……。
大木 最初の一発が勝負というかね。
阿佐谷 そうですね。見てもらうのは一発勝負みたいなところが、僕らの意識でもあったんですよ。
大木 だから、どうやったら見てもらうまで興味を持ってもらえるのか、難しい映画だと自分たちでも思うんです(笑)。あんまり出し過ぎてもいけないし。
切通 でも……今日は二回目の試写を拝見した後にお話を伺っているんですが、一回目だけ見た印象では忘れてた部分にけっこう気付かされて、そこも面白かったです。
大木 え、そうですか?
切通 たとえば、主人公がずっと持っている、壊れかけた人形。アンパンマンモドキの、パチモンのキーホルダーみたいな、片足がもげている人形を、彼が夢の中で渡されますけれど、朝起きてみると、同じ人形を、同居してる彼女が拾ってきていた。
「こういう風に夢と現実を描き分けてたんだ」とか。
阿佐谷 ああ、なるほど。
切通 見た後に時間が経つと、啓示的なことも、劇中に実際起きたことも、細かい部分は印象としてごちゃまぜになってしまうんですけれども、全体像がわかった上でもう一回見ると、こういうところも、丁寧に積み重ねてるんだなと思いました。
あと、バンドをやめた主人公の優介が、ホームレスの船田にシンパシーを感じていくプロセスも、細かいところはけっこう忘れていて。
最初、お風呂屋さんで二人は出会いますよね?
風呂の湯船の中で船田から煙草を勧められて、吸うっていうのも……まあこれは見ていた僕の勝手な想像ですけれども……優介からすると、人目もある風呂の中で煙草吸うっていうのが一種、自由な気分というか……でカットが変わると、更衣室で牛乳を優介の方から買ってあげてて。
煙草一本くれただけで牛乳買ってあげることはないんだけど、それは優介の若さなのかなとか思って。
大木 うん、うん。そうかもしれないですね。
切通 自分にもたらしてくれた、ちょっと自由な気分への返礼みたいな。ホームレスの船田からすると、そこでなんか二人の関係が出来た感じになったのかなとか、そんなことを思いながら、見てました。
大木 撮ってる側からすれば、二人の関係は、まずあそこなんですよね。
風呂場でたばこを吸う……優介からすればもう「なんでもいいじゃん」って、一種タガが外れたというか。
普通なかなかいないのでね、ああいうことをもたらしてくれる人は。
よく、見た人に言われるんですけど「なんであのホームレスの船田に、主人公が、あんなに深入りしたり、肩入れするのかすごい不思議だ」って。
でも理由ってないと思うのね。
阿佐谷 うん。そうですね。
大木 船田も言ってる「インスピレーション」っていう言葉。それを、あの風呂場で出したかったところではあったんですよね。
阿佐谷 優介にとってはバンドメンバーでもなく彼女でもなく、船田だったっていうことなんですけれども。
切通 あとから要約すると言葉に出来ない瞬間が、映画の中にはちゃんと描かれているんだなと、改めて思いました。
『花火思想』公式サイト http://hanabishiso.jimdo.com/
監督 大木萠
脚本・撮影 阿佐谷隆輔
出演 櫻井拓也
久保健司
モロ師岡
芹澤興人 勇人
富岡英里子 四宮勘一
瀧口修平 金村英明
皆さん、この映画とぜひ「出会って」ください!
これからもトピックとなる話題を随時UPしていく予定です
トーク完全版はメルマガ『映画の友よ』バックナンバーで。
http://yakan-hiko.com/risaku.html