本日夜8時半から、ニコ生で番組スタートします!

PaPeRo2015-06-29



  先日新宿で女優の倖田李梨さんのニコ生放送、Frameチャンネルでの番組に出させて頂き、「ぜひ僕にもこの場所でニコ生やらせてください!」と厚かましく立候補、担当荒井さんは社交辞令で流さず場を設けてくれました。
 善は急げと今日月曜8時半から、どんな番組にするか、公開企画会議行います!
 http://live.nicovideo.jp/watch/lv225851158

 初の担当番組をニコ生でさせて頂ける!(これまでもゲストではありましたが、メインでは初めて)、その場所がなんと新宿!という感動。しかも公開で番組企画会議をやるという素晴らしい機会を与えて頂き、荒井さん、Frameチャンネルの皆さん、ありがとうございます。


新宿という場所からの生放送に惹かれたので、ふさわしい要素として、新宿の空気をリアルタイムで吸って吐きだすような事は出来ないだろうかと考えています。

 急速な変貌にさらされながらも、そこになにがしかの日本らしさを求めて世界中から人が集まる「街」新宿。

 西口の新都心、東口の歌舞伎町、戦後の混沌の空気が残るゴールデン街、新大久保のアジア街・・・その真っ只中に位置する場所からの生放送。ふさわしい内容、皆さんと一緒に考えてまいりたく思います!

 新宿のヤバさを語ってくれそうな人として、漫画家のドルショック竹下さんがゲストに来て下さる事になりました。

 いまの新宿、以前からのヤバさと、オリンピックを睨んだ急激な変化が、ここより数年遅れても、数年前でも味わえない混沌を生みだしていると思います。

 新宿でしか出来ない生放送とは何かの公開企画会議を前半一時間として、後半は新宿ばかりではなく、この社会の現実にある問題について、本音で語りたく思います。

 初回のテーマは、酒鬼薔薇の著書について話したいと思っています。出版に関する是非など、色んな意見が出ていますが、私はいま出ている識者の主だった意見とは違う感触を持っています。

 酒鬼薔薇の著書について、ツイッターの短い文字数では、意図するところを伝えられるか不安だったこともあり、意見を公表してきませんでした。後半一時間は、その話題にあてたいと思います。

 本日19日月曜日、8時半からニコ生でお会いしましょう。

『少年宇宙人』関連動画まとめました

少年宇宙人 ~平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち~

少年宇宙人 ~平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち~

少年宇宙人 平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち』関連の動画、
こちらにURL情報まとめさせていただきたく思います。


まず『ウルトラマンティガ』イルマ隊長役・高樹澪さんから頂いたメッセージ
https://www.youtube.com/watch?v=0W_Ai-85Oj0&feature=youtu.be

シンジョウ隊員役・影丸茂樹さん https://www.youtube.com/watch?v=L-8DK7lgqrg

ムナカタ副隊長役・大滝明利さん
https://www.youtube.com/watch?v=0W_Ai-85Oj0&feature=youtu.be

円谷プロ・プロデューサー渋谷浩康さん
https://www.youtube.com/watch?v=00Cc5BkZI3o

ウルトラマンサーガ』『ガルーダの騎士ビマ』のおかひでき監督
https://www.youtube.com/watch?v=03IjQFpMO_U

・・・から頂いたメッセージをUPさせて頂いております。


ある時は『ティガ』第1話からの脚本家、またある時は『ダイナ』の原田監督回「君を想う力」のゲスト主役や、円谷プロ作品のレギュラー俳優・右田昌万氏と原田昌樹監督についてを語る動画番組『切通理作のせつないかもしれない』 。出演者と脚本家という両方の面から原田監督を語ります。
http://t.co/dr2fvC6tTr #so25981674
ここでは、私自身も原田監督と本を作るようになった経緯について話しております。


ダイナが表紙の『少年宇宙人 平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち』のなんと一か月前に、ティガが表紙の 『光を継ぐために ウルトラマンティガ』を刊行された小中千昭さんとの、池袋ジュンク堂でのトークショーの模様!
junkuTV https://t.co/K1BCl7oJAw

原田監督とはぶつかり合う事が多かったといわれる小中さんですが、実際はどうだったのかが、明かされます。


そして『帝国憲法物語』等の著書で知られる憲政史研究者・倉山満さんとの動画番組では昨年末以降の私の新刊/復刊計三冊より、各回、論じられている中から代表的な映像作品を一本選んで話していく構成。

その第三夜はウルトラマンダイナの「少年宇宙人」を紹介しながら、本書『少年宇宙人 平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち』に言及頂いてます。「倉山満が訊く、特別編〜名作探訪〜第3夜」【チャンネルくらら】 http://t.co/I3XRHxwET7

これまで本書についてトークやイベントを行わせて頂きましたが、表題作でもあるウルトラマンダイナの「少年宇宙人」(太田愛脚本)に焦点を合わせたのは倉山満さんとの番組が初めて。


「ティガ」「ダイナ」「ガイア」「コスモス」「ブースカ」「ウルトラQdf」「リュウケンドー」「五龍奇剣士」・・ノスタルジックだけど新しい、独特のスタイルを確立させながら夭折した監督の全仕事を記録した『少年宇宙人〜平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち』。http://t.co/keiDhk1KKM

残された演出メモと本人、関係者の証言で伝えたこの本、既に読んでご感想下さった方、読んでいる途中(なにしろ800ページありますので!)の方もいらっしゃって、本当に嬉しく思います。


それぞれの番組のファンだったり、子どもの頃から見ている人で、印象に残っているけれど、誰が作ったかもわからず、でもそれを知ったら、もっと知りたくなる方もまだまだいらっしゃるのではないかと思います。

出しておしまいではなく、これからも色んな人と出会える本になるよう、つぶやき、広め続けていきたいと思っています。興味のありそうな方が周りにいらしたら、さりげなく話題にして下さればさいわいです!

「映画の友よ」イベント第一回レポ

PaPeRo2015-06-22

先週金曜日6月19日、メルマガ「映画の友よ」イベント第一回の日、会場「よるのひるね」に着いた途端、2名の方からお店にキャンセルの電話頂き、「こりゃあクリスマスイブに三角キャップ被ったまま孤独に立ち尽くす星飛雄馬状態かああ」と覚悟しましたが、無事満員御礼。

雨の中、おいでくださった皆さん、ありがとうございました!

私の基調講演テーマとして、「高畑勲は『母をたずねて三千里』の51頁分しかない原作(平凡社ライブラリー版)をいかにして30分×52本に膨らましたか」を<メタフィクション><共感より理性><不可視のつながり>といった視点から語りました。


母をたずねて三千里』を再検討する事で、高畑勲は登場人物に対して容赦ないドラマを描いていながら、それが過酷だと感じる視聴者に対して怒るのはなぜなのか・・・という事が見えてきた気がします。

子どもの側の感情や正論が汚れた大人社会を浄化する・・・というような、都合のいい物語を避け、同時に、子どもへの教訓めいたものが表に出るのも避けながら、どんなことでも現実からのしっぺ返しがあるというかたちで、実は生きていくために必要な事を伝えているのが高畑作品なのだなと今回の視聴で改めて感じました

来場された方で、今回のイベントを機に『母をたずねて三千里』全52本見直したという人とも話したのですが、大人になってわかる人生の味わいもこのシリーズの魅力だったんだとも思います。

特に、主人公マルコが旅立つ心理的な契機を与える人形劇団一座の座長・ペッピーノの持つ、かなしみやおかしみは中年となった今は響きます。子どもの時は得体のしれない<大人>でしたが。

シリーズの後半、「全部わかってるさ」とペッピーノがある男の嘘や弱さを何も咎めず包含しようと、大人の態度で接してみせた次の瞬間、その男がマルコを欺いてより過酷な運命に旅立たせたばかりと知り、思わず彼を殴ってしまいます。初めて直接マルコへの思いを見せたペッピ−ノはここで主舞台から退場。この突き放し方と、客観視した中で生まれる人物の感情表現は圧巻というしかありません。

日本アニメーションの「カルピスこども劇場」での前作『フランダースの犬』から、よい子すぎる主人公と悲劇に帰着する涙のカタルシスを見取った高畑勲は、自作『母をたずねて三千里』で、大人と子どもが並び立てない中でどう出会うのか、より等身大に近づけて描きました。

その高畑が次に取り組む『赤毛のアン』考察が次回映画の友よイベントのテーマとなります。

ゲストの大木萠監督が『かぐや姫の物語』を見て、月から迎えに来るくだりは、実は死の世界への旅立ちであり、それはたとえば戦争で死んだ者への高畑勲の思いがあるのではと指摘。意表を突かれるとともに、『平成狸合戦ぽんぽこ』に舟で旅立つ夜の場面があるのを思い出しました。

その大木萠監督と脚本家・カメラマンの阿佐谷隆輔さんが、長編デビュー作『花火思想』に続く、今後の展開の可能性について、会場の方だけに話してくれました。実は僕も新作への期待と共に、彼らのスタート地点『花火思想』と出会い直す機会を作っていきたいと思ってます。大きな動きが秋にある予定。また告知します。

後半駆けつけてくださった斎藤隆文さん。メルマガで素敵なエッセイを連載頂いてますが、リアルで会うのは半年ぶり。俳優オーラが増していて、キレッキレのコメント連発で「おおッ」と。打ち上げで新作の話題をする大木萠監督に「呼ばれなくても出ます」と、ハートを掴みにくる笑顔は流石。

連載執筆陣によるトークも好評でした。

『眼福女子の俳優論』連載の小佳透子さんによるミア・ワシコウスカ論。ミアの魅力をあらわす<影のある透明感>という言葉がしっくりきました。7月18日公開『奇跡の2000マイル』ではミアの新たなステージが!
 http://www.kisekino2000mile.com/

『世界を知るための映画』を連載下さっている山口あんなさんのトークコーナーでは、普段の原稿ではなかなか触れられない、ドラマの本筋だけでないシンガポールの事情(ペットの取扱いや公開体罰等)を映画『イロイロ』を通して話され、とても興味深かったです。

そして、トリを務めた後藤健児さんが、自身の経営するオンラインVHSレンタル「カセット館」で取り扱う映画からオススメを紹介。その絶妙なトークに場内一同どよめきました。特に『ブルース・ウィリスの逆襲』の話題は抱腹絶倒!    
 http://www.cassette-kan.com

「映画の友よ」イベント、これからも、阿佐ヶ谷「よるのひるね」で開催させて頂ければと思っています。
 http://members.jcom.home.ne.jp/yoruhiru/
 
 第二回は8月を予定しています。ぜひお越しくだされば幸いです。
 http://yakan-hiko.com/risaku.html

『少年宇宙人』×『光を継ぐために』イベントが動画配信!

先日のジュンク堂でのトークセッション、なんと動画配信になりました! 
書店でのトークショーが配信される時代なんですねえ。
 
切通理作×小中千昭 「もっと高く! 『少年宇宙人 平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち』×『光を継ぐために ウルトラマンティガ』刊行記念トーク動画 http://youtu.be/O2ON5w4AX4M Podcast/関連書籍 http://junkudo.seesaa.net/article/420332

自主映画出身で幼いころから「映画の見せ方」に意を払ってきた小中千昭さんと、
映画の現場育ちで、総合力としての作品づくりに意を払ってきた原田昌樹さん。
 その違いと、コンビになった時に傑作を生みだした極意を伺います!
 

少年宇宙人 ~平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち~

少年宇宙人 ~平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち~

光を継ぐために ウルトラマンティガ

光を継ぐために ウルトラマンティガ

メルマガ「映画の友よ」イベントやります

2013年12月よりスタート、足掛け三年夜間飛行から月二回発行してきた切通理作メルマガ「映画の友よ」初のイベントを行います。
私の基調講演(と言うほどのものではないですが)は高畑勲論にとりくみます。第一回は『母をたずねて三千里』がテーマです。

宮崎駿押井守論をやったユーロライブの町山智浩さんとのトークでは、まだ高畑勲論の話は出てきていないので、
いずれやるにしても、ここで一旦話題を揉んでおきたいと思いました。
「映画の友よ」創刊号を『かぐや姫の物語』論から始めた事を思い出す読者もいらっしゃるかもしれません。

そしてゲストは、映画監督の大木萠さんと、脚本家・カメラマンの阿佐谷隆輔さん。
このお二人が組んだ『花火思想』は、私がこのメルマガを始める前、試写室通いを始めたその最初の日に出会って、
ガツンと殴られたような気がした、運命的な出会いの作品です。


打ち合わせで大木監督が、「同じ映画を何度も見るのって、『もう一回あの時のあいつらに会いたい!』って事ですよね!」
とおっしゃっていて、「なるほど」と思いました。

「映画の友よ」の「友」とは、映画そのものが友であるという意味もありますが、
映画の中に生きる登場人物と「また会いたい」と思う事を指してもいるのかもしれない……
大木監督の言葉で、改めて、自分の深層心理をも、言い当てられた気がします。

そして大木萠監督と、脚本家・カメラマンの阿佐谷隆輔さんは、
メルマガ「映画の友よ」の告知動画を作ってくださった人達でもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=cpZF0LoDRCk

当日は、お二人にとって「出会い」となった映画の話をして頂きます。と同時
に、メルマガ告知動画の第二弾も、この日初公開する予定です。

今度のイベントは、「映画の友よ」を読んでいる人には、どんな人が書いているのかという事も含めて、
文字の上での事が立体的になると思います。

レギュラー執筆陣からは、オンラインVHSレンタル店「カセット館」館長・後藤健児さんが出てくれて、
VHSビデオでしか見れないお勧め作品を紹介。

連載「眼福女子の俳優論」の小佳透子さんも登場。
この人の文章は、書き手が俳優についてどう言い表わせばいいか、常に勉強になります。
当日は連載でも触れたミア・ワスコウスカ。7月18日公開の新作『奇跡の2000マイル』も事前に見て、ミアの最新形を報告!

連載『世界を知るための映画』の山口あんなさんには、6/5にDVD発売予定の、
シンガポールのメイドの話『イロイロ』の話題をメインに、
日本の観客が、どんな部分も、自分の生活と比べるところを思い浮かべやすい映画について語って頂く予定です。

「映画の友よ」第一回イベントは6月19日(金)夜7時半より(開場は7時です)。
JR阿佐谷駅にほど近い「よるのひるね」というお店が会場です。
https://twitter.com/yorunohirunepro
 
6/18までのご予約で1000円+1drink\500円 当日500円高です。
電話03-6765-6997 yorunohirunepro@gmail.com
JR 阿佐ヶ谷駅北口 ロータリー左手不動産(杉山商事)角入って20m 八百屋向かい。

当日でも気軽にお立ち寄りください。
たとえたった一人しか来なくても、その人に語ります!

近著三冊をテーマに特撮談義・倉山満さんと

『帝国憲法物語』等の著書で知られる憲政史研究者・倉山満さんが主宰するチャンネルくららでの動画番組「倉山満が訊く、特別編〜名作探訪〜」に呼んで頂きました。
なんと『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』『少年宇宙人 平成ウルトラマン監督原田昌樹と映像の職人たち』で全三回!

  各回、本で論じられている中から代表的な映像作品を一本選んで話していく構成。第一回は初代『ゴジラ』について語りながら、『本多猪四郎 無冠の巨匠』について言及して頂いてます。   https://youtu.be/famkjvouctI
  

本多猪四郎 無冠の巨匠

本多猪四郎 無冠の巨匠

  批評の本を、対象となる映像作品と共に取り上げ、話すというのは初めての人にもわかりやすく、さすがいくつものベストセラーを出されている倉山満さんだと思いました。

  二回目はウルトラマンAの最終回「明日のエースは君だ!」を紹介しながら、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』について話しています。
https://youtu.be/h67vWfaYKmA

怪獣使いと少年ウルトラマンの作家たち 増補新装版

怪獣使いと少年ウルトラマンの作家たち 増補新装版

  倉山満さんは、「ウルトラマンA」の最終回は最初から名作と評判だったわけではないと、拙著『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』とからめて話されています。また倉山さんがキリスト教を通してこの最終回と出会い直したエピソードも貴重です。

  そして第三夜は、ウルトラマンダイナの「少年宇宙人」を取り上げ、『少年宇宙人 平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち』に言及頂いてます。
  http://youtu.be/_wQVM9rgx6M
  

少年宇宙人 ~平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち~

少年宇宙人 ~平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち~

  これまで『少年宇宙人 平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち』についてトークやイベントを行わせて頂きましたが、表題作でもあるウルトラマンダイナの「少年宇宙人」に焦点を合わせたのは倉山満さんとの番組が初めて。

  それぞれの作品についてじっくり語りながら、「批評」の面白さにも視点を促す、私にとってはとてもありがたい機会なばかりか、話題を展開する中でもいくつもの新しい発見がありました!

  ぜひ、ご覧になって頂ければ幸いです。

「怪獣使いと少年」宇野常寛さんとの対話

  評論家の宇野常寛さんが、しばらく絶版状態だった私最初の単行本『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(1993年初刊行)を「あの本がいま読めないのは許し難い。自分の手でもいいから復刊したい」と言ってくれた事は、さる4月3日に出版された増補新装版のあとがきでも書きました。

 新装版出版の暁には宇野さんと話をしたいと思っていました。
 先日、私が「ゴー宣ネット道場」の中でやっている動画番組『切通理作のせつないかもしれない』にゲストで来て頂くというかたちで、ついにそれが実現し、動画収録、UPされました。

 ※「宇野常寛氏『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』を語る〜『怪獣』でしか描けない現実・痛み」
   http://www.nicovideo.jp/watch/1432281363

 『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』は、ウルトラマンの脚本家の内、四人にスポットを当てた本です。

 最初のウルトラマンの頃はアメリカ領であった沖縄から来た金城哲夫上原正三。長崎でクリスチャンの土壌に育った市川森一大島渚らと「日本ヌーベルヴァーグ」の映画運動を支え、<騎馬民族征服王朝説>で日本原住民説を追い求めるようになる佐々木守

 存命の方には会いに行き、子どもの時から見ていたウルトラマンの作者はどんな人だったのか、彼等から与えられた影響はどんなものだったのか、考察しました。

 これは私にとって最初の単行本であり、またそのもととなった原稿の一つである、別冊宝島レーベルの一つであった「映画宝島」誌の「異人たちのハリウッド」特集(91年)に掲載された『ウルトラマン在日朝鮮人~単一民族幻想に挑んだ二人の沖縄人作家』が私の、初めて商業誌にプロとして書いた原稿でした。

 宇野さんは、北海道に住む高校生時代に旧版を読んで、「こういう事を書いていいんだ、と思った」と、自分の批評活動のきっかけのひとつにしてくれたと言います。

 それを聞いて、私は旧版が刊行された時の事を思い出しました。刊行日以来、ほぼ一カ月、毎日のように、分厚い何枚もの、文字がびっしり書かれた便せんを入れた封筒が送られてきたのです。

 本の感想と、その人自身のウルトラマンや作家たちへの論が、思いの丈を吐きだすように綴られている。それが全国から毎日届いたのです。

 宇野氏は、当時の別冊宝島シリーズや本書の旧版が、北海道の本屋にも置いてあった事が重要だったと言います。

サブカルチャーというのは、たとえば渋谷のような『街』発信である事に価値があるものと、僕みたいな、北海道に居た若者にも伝わっていく、場所の特権性に限定されないものがあって、僕は後者に対象に書いていく事になるんですが、その原点となったのが『怪獣使いと少年』やあの頃の別冊宝島カルチャーに触れた事なんです」(宇野常寛さん談)

 そもそもテレビというものが、多様な文化を映像に載せて、一度に全国あまねく見せていくものであり、多くの人にそのつどの思い出を残していきながら、改めて語り直される事が少ないメディアでした。

 そこには、従来なら局所で終わるようなものを全国的に共有できる「功」の部分と、すべてが平準化して、やがて起源が求められなくなるという「罪」の部分がありました。

 「今回、22年ぶりにめくって、それから増補の部分を読んだら、改めて『これはテレビの話だったんだな』と」

 そう宇野氏が言ってくれたのは嬉しく思いました。私は今回、増補部分を書く時、何を増補すればいいのか、しばし考えたからです。

 旧版の刊行時には、ウルトラマンシリーズは、テレビ地上波においては休眠期にありました。その後復活した平成シリーズの新たな歴史を書き加えるのがいいのだろうか?

 または、ウルトラシリーズに限局せず、『新世紀エヴァンゲリオン』等のSFアニメや平成の仮面ライダシリーズ等の流れも押さえながら、キャラクター番組と時代性についての思考を延長していく方向性もある。

 けれどそれらは、改めて他の本でやればいい事だし、私自身他でもやってきた事です。

 むしろ22年前の当時はまだ自明だったけれども、いまは見えにくくなっている事を改めて輪郭づけて、時代に残す方が重要なのではないかと思い至りました。

 それは、ウルトラマンを生み出した作家たちにとって、テレビというもの自体が巨大な怪獣だったという事実です。

 彼ら自身は、生育していく中でテレビというものがまだなかった世代でした。テレビが普及する以前、紙芝居や人形劇、郷土芝居といったかたちで、子どもたちや地域の人たちに直に語りかける表現を実践し、その可能性を模索していました。

 しかしテレビの登場によって、ある意味民衆の象徴だった子ども達の姿は外から消え、一人一人の顔が見えなくなります。やがて彼ら作家たちは、テレビのブラウン管の向こうの作者として、僕ら当時の子どもたちを幻惑する側になっていったのです。

いわば作者である彼ら自身が、テレビに「傷ついて」いたのでしょう。

「当時のテレビで、怪獣という、社会の繁栄から疎外され、さまよえる者たちが『居る』んだと子どもたちに見せる事が出来たウルトラシリーズは、あの時代だけの一回性のものだったのではないかと、今回の増補版を読んで改めて思いました」(宇野常寛さん談)

 ウルトラシリーズはいくつかの休眠期を挟みながら現在も続いています。昭和のキャラクターも、当時見ていなかった人にも親しまれています。

 その一方、テレビのあり方と視聴者のあり方との関係論は、一回性の出来事として書き記す価値があるのではないかと思いました。

 それは、作品に登場する「怪獣」のリアリティとも関係します。平成のウルトラマンシリーズでしばし用いられた、絶滅種の保護動物という、怪獣の扱い方の変容は、そのあらわれの一つではないかと。

 怪獣とは「怪しい獣」であって、保護されるべき存在として認められた途端、怪しさという名の輝きも、強さも失ってしまう。

「平成のウルトラマンも、仮面ライダーも、時代に求められるヒーローを再定義する事には成功したと思うんです。それは海の向こうのアメコミヒーローの映画化作品とも、どこか響き合っていた。しかし、その一方、怪獣の方は復活させることが出来たかというと、疑問なんです」(宇野常寛さん談)

『リトル・ピープルの時代』等で、「平成」シリーズの同時代性に加担した批評を書いた事を自覚している宇野氏だが、実際に買っているキャラクターのフィギュアは、圧倒的に「昭和」のものが多いと言います。

「みんな作り手は最初『自分の番が回ってきたら怪獣らしい怪獣を復活させたい』と思って始める。たとえば『進撃の巨人』でも、圧倒的な存在感を持った人類の敵としての『巨人』を登場させる事が出来た。でも物語を進めていく内に、『巨人』も人間だった・・・というような展開にどうしてもなってしまう」(宇野常寛さん談)

 平成のヒーローは、社会正義よりも、また体制の維持よりも、人間が人間らしく生きる事を大切にし、そこを励まし奮い立たせる事で、逆に大きなものとつながっていくというかたちで、「守る者、守られる者」の絆を再定義した。

 それは同時代に人々が求めているものそれ自体でもあったはずだ。

 しかし、ヒーローが復活したこの社会から、はじかれてさまよっている、かつての怪獣のような存在はもう「なくてもいいもの」になったのか?

 「そんな事はないだろうと思うんです。いつの時代にも、存在し続けるはず。けれど、それがテレビで『怪獣』というかたちで発想されるというのは、あの60〜70年代の一回だけの事だったのかもしれない」(宇野常寛さん談)

 そもそも、ウルトラマンの作家たちは、テレビという、これもある意味怪獣と言っていいものが全国をならし、均質化する事へ、同じテレビに身を染めながら、抗っていた節があります。

 60年代後半、連続射殺事件を起こし全国を騒然とさせた青年・永山則夫に北海道という「地方出身者」の物語を投影する論調が支配的だった時代に、佐々木守さんは、どこにいっても「ふるさと」といえる原風景などは存在し得ず、均質的な景色が広がる日本列島の問題こそがそこにあるのではないかと問いかけました。

 その事を提示したドキュメンタリー映画『略称・連続射殺魔』は、佐々木さんが、ウルトラシリーズ含めたテレビでの仕事で得たギャラをつぎ込んで制作したものでした。

 <連続射殺魔>の故郷が、他ならぬテレビに代表されるメディアの中で「物語」として増幅されながらも、実質としては既に消えかけていたという事実は、かつて映画の銀幕でデビューした「怪獣」という存在が、テレビの中で最後の光芒を発していたのと対を成す現象だったのかもしれない。

 宇野氏は、自らの世代体験として、インターネット時代以降の「怪獣」のあり方を、宇野常寛版『怪獣使いと少年』として書いてみたい・・・と語っていました。

 今回の『怪獣使いと少年』増補版で、旧版の際には実物を読めなかった、上原正三さんが学生時代、書いていた沖縄の基地問題のシナリオを読み、新規インタビューを行いましたが、そこで書かれている半世紀前の沖縄と、今の日本の状況が、重なってきている事に気づいた私は驚愕した。

 おりしも、増補版が刊行されて少し経ったとき、『ウルトラマン』放映時の昭和41年に、辺野古への米軍基地建設が既に検討されていたという新事実が明かされました。

 22年後、この増補新装版がどう見えているのか。その頃、日本がどんな局面を迎えているのか。それを占う前に、私自身もまた「いま、ここ」を取り巻く現実に、ごまかさず目を向け続けていこうと思います。
 

怪獣使いと少年ウルトラマンの作家たち 増補新装版

怪獣使いと少年ウルトラマンの作家たち 増補新装版